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From:庵ちゃん
瀬奈さん、先日はお祝いメールありがとうございます!
私は元気です! 母とは最後まで揉めましたが、友達もできたし、先輩もいい人ばかりだし、呪術師として入学してよかったと思います。
そういえば、明日、関西で任務があるんですよね? 実は私も、近くで単独任務があるんです。
よかったら、どこかで落ち合って、晩ご飯を食べながら話しませんか?

ぐったりとした体を起こし、ベッドから降りて着替えをし、顔を洗って歯を磨く。それだけの動作ですら億劫(おっくう)になっていたから、庵ちゃんからの返信を読んだとき、めんどくさい気持ちが芽生えた。

だけど、まだ入学して間もないのに単独任務を命じられている彼女がどうしても気がかりで、新幹線で関西に(おもむ)き、任務の前に待ち合わせ場所へ向かった。

BGMにヨーロピアンポップが流れるおしゃれなエスニックカフェは、若い女性客が8割だ。私は、(くま)を隠すために塗りすぎたコンシーラーや、ケアを怠って傷んだ髪が明るい照明の下に(さら)されるのを情けなく思いながら、ソファ席に座った。

「わぁ、瀬奈さん、すごく痩せましたね」

後から到着し対面に座るなり、庵ちゃんはびっくりしたように言った。

「そう?」
「はい。なんていうか、迫力があります」
「ふふ、それはお腹が空いてるからかも。何か食べる?」
「えーっと、じゃあ私は海鮮パエリアで」

誤魔化すために空腹だと言ったものの、実はあまり食欲のない私は、消化の良さそうなハーフのトマトリゾットを注文した。

ちらちらと気遣わしげにこちらを(うかが)う庵ちゃんの髪は、顎のラインで切り揃えたボブカットになっている。私はにっこりと笑って口を開いた。

「髪、切ったんだね。短めも似合ってる」
「ほんとですか? 実は失敗したなーって思ってるんですよ。呪術師になったらロングは邪魔かと思って切ったんですが、丸顔に見えちゃって。ヘアアレンジもできないから、お洒落の幅も減ったし」
「そんな風には思わないけど。……呪術師になってみて、どう? 困っていることはない?」
「うーん、今のところありません」
「今日は単独任務なんだってね。よくあるの? こういうこと」

単独行動が認められるのは、二級術師からだ。入学時点で二級相当と認定されれば可能だが、そんなのは一部の天才か、御三家出身の学生くらいだった。

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ひよこまる(プロフ) - えりんぎのバター炒めさん» コメントありがとうございます! 二人旅のシーンは、構想段階からどこかに差し込もうと思っていた場面なので、お褒めいただきすごく嬉しいです。一番書きたいシーンまで上手く辿り着けず焦ることも多いですが、ご期待に添える作品になるよう、頑張ろうと思います(^^) (5月7日 7時) (レス) @page37 id: 8ac964ebff (このIDを非表示/違反報告)
えりんぎのバター炒め(プロフ) - 心を療養する夏油さんと夢ちゃんの2人旅がすごく素敵です。とても引き込まれる作品で、2人の苦しさが身に染みます……。続き楽しみにしています! (5月7日 0時) (レス) id: 61116f8e5d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ひよこまる | 作成日時:2024年3月24日 21時

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