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From:夏油君
〈了解。個人的に作成した資料を送るから、良かったら参考にしてくれ。〇〇廃病院任務資料.pdf, 〇〇墓地任務資料.pdf, 〇〇村任務資料.pdf〉

From:五条君
〈集合場所? わすれた。たしか朝に東京のどっか集合〉

From:夏油君
〈報告漏れすまない。その任務の担当補助監督は正金寺さんだよ。連絡先は080-……〉

From:五条君
〈ウケる。めんご!〉

From:夏油君
〈こちらこそ迷惑をかけてすまないね。何か不備があればいつでも連絡してくれ〉

From:五条君
〈あ、俺今から超多忙だから、お前に構ってらんねーわ(笑) じゃあな〉

一番最新の五条君からのメールを読んだ瞬間、どっと疲れを感じて、私はため息をついた。

こちらがあれこれ気を遣うのが馬鹿らしくなるほどの能天気さだ。五条君にとって、仕事がプレッシャーで眠れないなどという時間は、一秒もないのかもしれない。肝の座り方が半端ないというか、「私、失敗しないので」を地でいく自己評価の高さがすごい。そして同じくらい、周囲に対する想像力がない。五条君は適当でいいかもしれないが、私は適当で済ませるわけにいかないんだよ、と小言のひとつも言ってやりたくなる。夏油君も五条君と同様に自信家だが、そつなく周囲への配慮もできるあたりが、補助監督さんや後輩からの心象がいい理由だろう。

構わなくて大丈夫なので、これだけは答えてくださいという箇条書きの抗議メールを五条君に送ったところで、

「ひさしぶり」

という声とともに、冥冥さんが待ち合わせ場所に現れた。私は背筋をのばして携帯電話をしまう。

「お久しぶりです。本日はよろしくお願いします」
「ふふふ、そう固くならなくていいよ。知ってのとおり、私は金以外のことには頓着しない(タチ)だから」

反応に(きゅう)して、あいまいな笑みを浮かべると、冥冥さんは真っ赤な口紅を引いた唇で鮮やかに微笑んだ。

「さ、給料分は働こうか」


***


帰りの高速道路で渋滞にあってしまい、寮の自室に帰り着くころには深夜12時をまわっていた。

任務中、星漿体任務が一日長引いたと夜蛾先生から連絡が入ったが、もともと非常事態を想定して一週間分の任務を引き継いでいる。

明日は一泊二日の出張任務だし早く眠ろうと、重い体を引きずって風呂場に向かう途中、明日の集合場所の確認を、「朝に東京のどっか」などという、ふざけた引き継ぎのまま放置していたことを思い出した。

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ひよこまる(プロフ) - えりんぎのバター炒めさん» コメントありがとうございます! 二人旅のシーンは、構想段階からどこかに差し込もうと思っていた場面なので、お褒めいただきすごく嬉しいです。一番書きたいシーンまで上手く辿り着けず焦ることも多いですが、ご期待に添える作品になるよう、頑張ろうと思います(^^) (5月7日 7時) (レス) @page37 id: 8ac964ebff (このIDを非表示/違反報告)
えりんぎのバター炒め(プロフ) - 心を療養する夏油さんと夢ちゃんの2人旅がすごく素敵です。とても引き込まれる作品で、2人の苦しさが身に染みます……。続き楽しみにしています! (5月7日 0時) (レス) id: 61116f8e5d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ひよこまる | 作成日時:2024年3月24日 21時

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