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「その通りだ」
「恐れ入りますが、見たところ、すべて一級案件です。二級術師の私に、務まるとは思えないのですが……」
「もちろん。竹之内ひとりに任せる気はない。実力ある一級術師に同行を依頼する予定だ」

それは、つまり。

真意を探るように夜蛾先生の顔をじっと見つめると、先生は、その通りだ、と言わんばかりに頷いた。

「竹之内。お前は真面目で勤勉だし、成果も出している。準一級への昇級を目指しても良い頃だと、私個人としては考えている。もちろん私は一級術師を紹介するだけであって、彼らが実力不足だと判断すれば、お前は昇級推薦を受けられない。だから、心してかかれよ」
「はい。ありがとうございます」

私は、丁寧に頭を下げつつも、星漿体任務のことが心に引っかかって、せっかくの昇級のチャンスをうまく喜べずにいた。


***


数日後、任務から帰還した足で書庫へ向かう途中、静岡県の任務から帰ってきていた五条君と夏油君とすれ違った。

「五条君、夏油君、お疲れさま」
「お疲れさま。ひさしぶりだね。最近、入れ違ってばかりだったから」
「そうだね。静岡の任務は、歌姫先輩と冥冥さんの救出だったんでしょ。なぜか救出された歌姫先輩から怒りのメールが届いたよ。何したの?」
「さぁ? カルシウム足りてねえんじゃねえの」

五条君の態度から大体すべてを察した私は、あとで歌姫先輩に労りの返信を入れておこうと心に決めた。

「そういえば、俺らが星漿体のガキの護衛してる間、お前が俺らの任務引き継ぐんだって?」

まさか五条君からその話題を振られるとは思っておらず、私はとっさに反応ができなかった。「ま、俺らの留守をよろしく〜」と、本当にちょっと旅行にでも行くかのように肩を叩かれて、その軽さに、私のほうが救われたような気持ちになる。

「うん。それでね、引き継ぐ予定の調査資料、ひと通り目を通したんだけど、いくつか確認があるの。あとで5分でいいから時間をもらえない?」
「構わないよ。今から聞こうか」
「ンなもん、適当でいいよ」
「こら悟。竹之内は、自分の仕事もある中で私たちの仕事を引き受けてくれるんだ。引き継ぎはきちんとしな」

夏油君が五条君をたしなめる。確かに仕事は増えたものの、今回の引き継ぎは私にとっても悪い話ではない。だから気にしないで、ということを伝えたかったが、これから暗く重い任務をこなす二人にどう伝えようか迷っているうちに、補助監督さんが私を呼びに来て、引き継ぎの件はメールでやり取りすることになった。

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ひよこまる(プロフ) - えりんぎのバター炒めさん» コメントありがとうございます! 二人旅のシーンは、構想段階からどこかに差し込もうと思っていた場面なので、お褒めいただきすごく嬉しいです。一番書きたいシーンまで上手く辿り着けず焦ることも多いですが、ご期待に添える作品になるよう、頑張ろうと思います(^^) (5月7日 7時) (レス) @page37 id: 8ac964ebff (このIDを非表示/違反報告)
えりんぎのバター炒め(プロフ) - 心を療養する夏油さんと夢ちゃんの2人旅がすごく素敵です。とても引き込まれる作品で、2人の苦しさが身に染みます……。続き楽しみにしています! (5月7日 0時) (レス) id: 61116f8e5d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ひよこまる | 作成日時:2024年3月24日 21時

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