緑の座6【ギンコ目線】 ページ7
ギン「シンラ、お前が知っている婆さんは…半分でしかなかったんだよ。」
「でも、そのもう半分も、シンラが産まれてからずっと見守り続けてたんだよ。」
シン「そんな……全然気づかなかった。」
ギン「彼女は完全な蟲ではないから、お前には見えんのだ。
だが…お前の力を使えば、婆さんを完全な蟲にすることが出来る。
そうすればもう、決してこちら側には戻れなくなるがな。」
「レンズはそう長く考えなかったよ。むしろ即答だった。
……シンラ、私からもお願いする。力を貸してくれ。」
シン「………わかった。やるよ。」
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外
シン「描くとこ見ちゃダメだよ」
ギン「わかったって;」
シンラとは、描くところを見ないという条件で承ってくれた。
俺達とシンラの間には、仕切りが置いてある。
ギン「じゃぁシンラ、さっき話した婆さんの宴の中で婆さんが貰った盃を、左手で描いてみてくれ。」
シン「えっ、でもどんな色とか形とか聞いてないよ？」
「いいんだよ、想像で描いてみ。
レンズが受けた盃の半分は、子から孫へと体内に受け継がれていくもののはずだからな。」
シン「想像……」
見るな……って言われたら、見るしかないだろ。
俺は仕切りに指で穴を開けた。
というか………
ギン「お前やけに詳しくないか？;((ｺｿｯ」
「そうかい？((ｸｽｸｽｯ」
こいつ…この出来事を全部わかっていやがったな……
わかってたんなら自分でやってくれや全く……。
シン「緑……のような気がする。この国の緑のような…濃くて鮮やかな……。」
ギン「！」
「(凄いな……)」
筆が緑に変わった
なるほど、自分の意思で色を変えられるのか。
シン「それで…平たくて……丸い形。」
ギン/A「ご名答！」
俺達は思わず立ち上がった。
すると、紙に描いた盃が浮き上がり、実物となった。
ギン「すげぇー……」
「おぉ……浮かび上がった。」
シン「あっ、割れる。」
今度は真ん中に綺麗な切り込みが入って行き、割れた。
そして片方は消え、もう片方は残った。
ギン「レンズ。」
レンズは木の上から片割れの盃を落とした。
シン「そこにいるの？婆ちゃん。」
ギン「合わせるぞ。」
勿論、盃はピッタリだった。
合わせた途端、盃からコウキの酒が溢れ出てきた。
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作者名：驟雨-ｼｭｳｳ- x他1人 | 作成日時：2019年3月17日 2時
