一夜で終わるはずだった【YG】

26*1度でいいんですー貴女sideー ページ27

｢…Aさん｣


『…シウさん。こんにちは。これから外回りですか？』



SU｢こんにちは。そうです。ここが踏ん張り時ですからね、がんばります｣




この人は営業課のイ･シウさん。


少し前に私の落し物を拾ってもらった事をきっかけに、社内で見かけると話すようになった。



顔もよく愛嬌があるのは勿論のこと、商談もうまく仕事ができるため営業課で人気らしい。


スヨンちゃんから羨ましがられた。





『それはそれは…、頑張ってくださいね』


SU｢Aさんも。頑張ってくださいね｣



『それじゃ…』



SU｢あのっ｣




仕事後あるので、失礼します。と言おうとしたら引き止められる。





『どうしたんですか？』








SU｢今度、一緒に食事に行きませんか｣





思ってもみなかった言葉に、びっくりした。



こんな時でさえ思い浮かぶのはユンギの顔。



……私、ユンギの事大好きすぎるなぁ…。




『……お気持ちは嬉しいです。でも、ごめんなさい』



SU｢…どうしても、ダメですか？｣


『……』



SU｢1度でいいんです…1度、だけで｣



すがりつくような言葉に、潤んだ瞳。震える声で彼は言った。



『…1度、なら』



彼の熱意に折れて、1度ならと承諾をした。





SU｢本当ですか！！ ありがとうございます！ 日にちは…明後日でもいいですか？？｣


『はい、大丈夫です』



子犬のような無邪気さに自然と笑顔になる。


…素敵な人だな。





SU｢じゃあ、また｣


『また 』



笑顔で去っていく彼。



ぎこちない笑顔で返す私。






ダメだな。





やっぱりユンギが頭から離れないよ。

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