夜久衛輔とシちゃったら

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ピンクの背景に、散る色とりどりの小さな花。





こりゃ透けてんな、今日。




クールなショートカットが良く似合う、


俺の想い人を眺めながら呑気にそんな事を思った。




いや、別にじっくり眺めてたとかそんな訳じゃねーし！



ふと眺めたら透けてんだからそりゃ気になるだろ！





だって、好きな人…だし。






自分の想い人が、


無防備に下着姿を晒していると言うのは



実に不快でたまらない。







他の男共もチラチラ見てやがる。



そんな状態は、不快以前に普通に心配。




とにかく、このままにしておきたくないので


バッグの中からベストを取り出し、



Aの前に差し出す。






「A」



『ん？ やっくんどしたの？』



「これ、着ろ」



『え、ベスト？ なんで？』



「なんでっておま…っ！ す、透けてんだよ」





当の本人はぽかぁんと間抜けな顔をして首を傾げた。



その様子に、無性に苛立ちを覚える。




コイツ…っ！ ほんっとうに危機感ねぇ奴だな！




透けてるとか言うの、


こっちだってすげー緊張すんだからな！







『えっ、嘘！？』



「嘘でベスト渡すかよ。それ着てなって」



『え〜！ ありがとうやっくん！ 恩に着る〜！！』





再びベストを差し出すと、


Aはそれをすんなり受け取って



そのまま身につけた。




よし、これでAの下着は誰にも見られねぇな。




ちょっとした達成感と安堵で息をつくと



後ろからちょっとちょっと。と


聞き覚えのある声の主が俺の肩に手を置いた。






「夜久に借り作ると後が怖ぇぞ〜」



『それどこの○○○ですか(笑)』



「シッツレーなやつ！」



『やっくんは優しいからそんな事しません。ね、やっくん』



「ん？ お、おう」






いや、失礼なのはお前だろ。と、


変わらない○○○の嫌味に軽蔑の視線を送る。




ていうか、余計なこと考えてたから


Aの返事の歯切れ悪くなったじゃねーか！







本当になんてことしてくれたんだコイツ。




まあでも、まだ話す機会あるからいいか。



うん、大丈夫だな。





…大丈夫、だな。






大丈夫だと言い聞かせて納得しようと励むと、


始業のチャイムが鳴った。







『あ、もう鳴っちゃった。……またね、やっくん』



「おう。またな」







`またね´その言葉で、分かりやすく胸が高鳴る。



さて、今日も頑張るかと自席の椅子を引いた。

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