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07* ページ8

「すいませーん。ちょっと体調悪いんですけど…」





「おっ、及川さん!?」






実は全然悪くないけど。



と思いながら保健室の戸を引くと




俺が来るとは思わなかったのだろう、




矢巾と佐藤ちゃんが目を丸くして俺を見ていた。









佐藤ちゃんが椅子に腰かけ、



矢巾がその前に膝をついていて




矢巾の手にはガーゼと消毒液。



怪我の手当をしようとしていたらしい。






よかった。



フラグは立ってないみたい。






危ない危ない。間に合って良かった。






いや、間に合って良かった…けど




どうして矢巾が手当を?







安心したのも束の間、



矢巾が手当をしている様子に違和感を感じる。





違和感の正体は何だと周りを見渡せば、



本来手当をするはずの先生が居ないことに気が付く。







「え、先生は?」





「それが、今日出張らしくて…」





「へー、そうだったんだ。…なに、その子どうしたの?」






なるほどね。と軽く相槌を打って



佐藤ちゃんのことを尋ねると






佐藤ちゃんの肩は分かりやすく跳ねた。









「あー…、さっき転んじゃったんです」






コイツほんとおっちょこちょいで。




と困ったように笑う顔の中に、



少しの嬉しさが垣間見える。









矢巾の恋心になんて気づいてませんよーだ! と





思ってしまったが、





矢巾にバレないよう平然を装いながら話を続けた。








「そうなんだ。矢巾は付き添い?」





「はい。…あの、それでなんですけど、もし迷惑じゃなければ、任せても大丈夫ですか…?」





「うん。全然おっけー」




「あっじ、じゃあ、お願いします!! 失礼します!」








即答で答えた俺に少し驚きつつも




ありがとうございます! と深く頭を下げて





保健室を出る矢巾の背中を見つめる。







…矢巾、いなくなるの?



矢巾、佐藤ちゃんの事好きじゃないの?




大丈夫なの? 俺に譲って。







てっきり矢巾が佐藤ちゃんの事を


好きだと思っていた俺は、



なんとも間抜けな顔をしているだろう。









いけないいけない。






今は佐藤ちゃんと二人きり。





気を引き締めるべく咳払いをして、



佐藤ちゃんの方を向く。









「ンンッ。…で? もう逃げられないね、佐藤ちゃん?」

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ハク(プロフ) - おかかさん» おかか様、コメントありがとうございます〜!目を通して頂いただけではなく、コメントまでありがとうございます!そう言って頂いてとても嬉しいです〜! (2020年7月26日 22時) (レス) id: 63b947b75a (このIDを非表示/違反報告)
おかか - めっちゃ面白かったです!素敵な作品をありがとうございました!!!! (2020年7月26日 18時) (レス) id: 0ecde9d0b0 (このIDを非表示/違反報告)
ハク(プロフ) - にまるぁさん» にまるぁ様、コメントありがとうございます!矢巾くんの良さが伝わっていただけたら幸いです^^ (2020年7月20日 10時) (レス) id: 63b947b75a (このIDを非表示/違反報告)
ハク(プロフ) - あかねさん» あかね様、コメントありがとうございます!少し気をつけて書いていた部分をそう言っていただけるととても嬉しいです...!私もあかね様のお話にはお世話になりっぱなしです。応援ありがとうございます!頑張ります! (2020年7月20日 10時) (レス) id: 63b947b75a (このIDを非表示/違反報告)
にまるぁ(プロフ) - 矢巾んがイケメンというか、スパダリだから、ちょっと見直したというか、ときめいたというか… (2020年7月19日 10時) (レス) id: 4d06eeaee2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ハク | 作成日時:2020年7月11日 19時

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