○○○とシちゃったら

12* ページ13

『わたしで、本当にいいんですか…？』





「うーん、今のところ佐藤ちゃん以外に思いつかないんだけど」





『こんな幸せになって、いいんですか』





「いいよ。だって、誰かさんが雲隠れしてくれたおかげで、好きになっちゃったんだから」







うぅ〜と幸せを噛み締めるように涙を流す君。









…そういえば、名前知らないんだったね。








名前を呼べない告白なんて格好つかないから、




教えて欲しいな。









「ねえ、名前教えてよ。下の名前」





『…Aです。佐藤、A』





「うん。そっか、Aって言うんだ」







初めて知った、愛しい君の名前。






嬉しくて何回も口に出して反芻してしまう。









「…A」




『は、はい』




「んふふ、A」





『はい、及川先輩』






「可愛いねえ、A」





『……は、恥ずかしいです…先輩』








好きすぎて綻んだ顔で、君の名前を呼び続ける。




恥ずかしさからか、Aは真っ赤な顔を手で隠して




そっぽを向いてしまった。






あぁ、本当に可愛い。






恥じるところも、




俺に名前を呼ばれて嬉しそうに笑うところも






全部全部、愛しくて胸が締め付けられる。









相変わらずそっぽを向くA。





ねえ、こっち向いて。って話しかけて





真っ赤なおもちちゃんの頬に両手を添える。








「辛い事一緒に乗り越えて、幸せになろうね」







『〜〜はいっ』









またも大きな瞳から涙を零して笑う君に






そっと触れるだけのキスをした。

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