隣の赤葦くんがすごく話しかけてくる【赤葦京治】

After Story ページ31

「A」


『ん？』


「今日、何か予定ある？」


『いや、特にないよ。どうしたの？』


「放課後、一緒に買い物付き合って欲しくて」






付き合って2ヶ月程経ったある日の朝、京治は私の隣に座りながらそう言った。久しぶりの放課後デートのお誘いに、分かりやすく頬が緩んで喜ぶ。



『買い物ですか！』


「うん。気になってた古着屋に行きたくてさ」


『古着屋かー。それなら土日に行かない？ 放課後の数時間だけじゃ足りないかも』





…そう。ほとんどが一点物で、デッドストックの古着ちゃんと運命の出会いを果たすには、放課後の短い時間ではとても足りないのだ。




惜しいけれどここはまた休日に回すしかないかなぁ…。古着、安くないし。大切な出会いのためにも、ちゃんと時間をかけてゆっくり考えないとね。






「それなら…ちょっと間が空くけど、来週なら日曜日オフだよ」


『じゃあそこで！ …京治さ、今日休みなら、一緒にお出かけしようよ』




宣伝用に貰った水族館の割引チケットの期限が、今日までだった事を思い出した。今日特に予定がないのなら、一緒にいたいし、水族館デート憧れてたしで丁度いいよね。





「もちろん！ A、どこか行きたいところある？」


『水族館の割引チケットが今日までなのです』





じゃじゃーん！ と貰った割引チケットを、得意げに取り出す。






「え、俺すげえ楽しみなんだけど」



『ほんと！？ よかった〜！』



「やばい。超楽しみ。どうしよう。俺、楽しみすぎて本当にやばい」



『語彙力なくなってるよ』





予想外の喜び方をする京治に、こんな顔するのかと笑ってしまう。普段の、クールで知的な彼からは想像できない姿が、年相応で可愛らしい。







「これはなくなっても仕方ないだろ。あーもう、本当に好き。可愛すぎる。Aの事が好きすぎて辛い」



『そのデレ、心臓に悪いです！』


「ハハッ、知ってる。でも、やめてあげない」


『〜〜っ！ ずるい！！』







確信犯の笑みに赤くなった顔を覆って下を向く。






付き合ってからというもの、この赤葦京治のデレ攻撃は留まるところを知らない。私ばっかりドキドキしているみたいで少し、不服です！









『…(もう、こんなんじゃ心臓持たないよ〜！)』

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