隣の赤葦くんがすごく話しかけてくる【赤葦京治】

にじゅうよんもちもち ページ26

京治に電話しない？ と誘われてから、時間ができる度に電話をするようになった。









『あー、もうこんな時間。毎回早いよー』





「そうだね。Aと話してると時間が経つのすごく早い」





『…また、明日ね』





「うん。おやすみ」





『おやすみ〜』







そう言って未練なく電話を切る風を装うけれども、未練はタラタラ。ずっと京治の声を聞いていたい。時間が止まればいいのに。





何度そう思ったことか。








だけど、待ち望んだ「次」の電話は、すぐに来る。4.5日空けていた電話も、今では1.2日のスパンでする。






たまに京治が寝落ちする時もあって、その時は規則正しい寝息を聴きながら私も眠る。そんな幸せな生活を送っている、はずなんだけど。









いざ登校して学校生活を送ると、京治の隣には棚田さんがいるようになった。電話をすることで京治との仲を深める私と比例して、棚田さんは物理的に京治との距離を縮めていた。









棚田さんはすごく女の子らしくて、京治と並ぶと「彼女」って感じがする。







…私、は？









「A」





『ごめん、ちょっとトイレ…！』









京治の隣で幸せそうにする棚田さんを見ると、言葉では表し難い感情が私を支配していく。





いかにも女の子らしい棚田さんに、嫉妬をしているのかもしれない。…どこかで、京治はあぁいう彼女の方が合っているのだろうと思っていたのかも、しれない。








「今日、電話できる？」





『今日はちょっと、寝たいかも…』





「そう…」









せっかくタイミングを見つけて話しかけてくれる京治を、避けるようになってしまった。







…辛い。








好きなのに、勝手に期待して、自爆して。





京治が歩み寄ってくれるのに遠ざけて。






なのに棚田さんに嫉妬して。









わたし、何したいかわかんないや。

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