にじゅうにもちもち ページ24
「今日はお疲れ! 乾杯!!」
木葉さんの音頭で始まったプチ打ち上げも、あっという間に9時を過ぎた。盛り上がった空気が落ち着いて、そろそろお開きというまったりした雰囲気。
「んじゃ、そろそろ会計して帰るぞー」
「おう!」
「木兎すげえ食ってたけど動けんの?」
「もう消化した!」
「はえーよ!」
「じゃ、1人6000円頂戴ね。先外行ってて」と、1人あたりの値段を出した木葉さんに6000円を渡す。木葉さんの言葉に甘えて外に出ると、店内との寒暖差に思わず身震いする。
私の後にお店を出た京治は、すっと私の隣に立った。
「A」
『ん?』
「送ってく」
思ってもみなかった言葉に、胸がはねる。嬉しいし、その言葉に甘えたいけど、今日は試合があったから休んで貰いたい。
『えっ、大丈夫だよ! 早く帰って休んでいいよ?』
「心配なんです。大人しく送られてください」
ずるい。そう言われると断れないの分かってて言ってる。こういう事サラッと言えちゃうの、京治クオリティだ。
『……そんなの、断れないじゃん』
「ふふふ」
嬉しそうに笑う京治の顔をまともに見られない。きっと私も、同じ顔してるから。高鳴る心臓に手を当てて深呼吸していると、木葉さんがお店から会計を終えて出てきた。
「よーし、じゃあ、帰るか」
『ありがとうございました』
「また行こーな!」
「またな〜」
それぞれ帰路につくなか、私と京治、木葉さんとふわりが残っていた。京治は「今日はありがとうございました」と2人に言って、優しい顔で私を見た。
「じゃ、俺達も行くよ」
『う、んっ!?』
京治は流れるような手つきで私の左手を取り、自身の手と一緒にポケットにしまって満足そうに歩き出した。
『け、いじ…っ』
「ん?」
『あの、手、つないで…』
「寒かったから。一緒にあっためてくれる?」
『ーっ、うん』
こんなの、好きにならない方が無理だ。
吐いた息が白く染って消えていく。もう、人肌恋しい季節が訪れている。
それは私も京治も、例外なく――。
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黒瀬(プロフ) - 最高すぎました!木葉くんとふわり姉さまの恋も順調に進んでいってたらと願ってます! (2022年7月22日 19時) (レス) @page32 id: c2f07a43fa (このIDを非表示/違反報告)
ハク(プロフ) - 和葉さん» コメントありがとうございます!にやけて頂けるなんて嬉しいです! すみません、確認してきたのですが見当たらず…。お手数をお掛けしますが、教えて頂けますか? (2020年7月6日 22時) (レス) id: 63b947b75a (このIDを非表示/違反報告)
和葉 - にじゅうさんもちもちで誤字発見しました~こっちの間違いだったらすみません()あと完結おめでとうです!読んでる時ずっとにやけちゃってました…//// (2020年7月5日 23時) (レス) id: c3b9fb294b (このIDを非表示/違反報告)
ハク(プロフ) - LiSAさん» LiSAさん〜!こちらにもコメントありがとうございます!嬉しいです…!読んでいただきありがとうございました! (2020年7月2日 12時) (レス) id: 63b947b75a (このIDを非表示/違反報告)
LiSA(プロフ) - 完結おめでとうございます〜!!とてもよかったです! (2020年7月1日 22時) (レス) id: dfc2066332 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ハク | 作成日時:2020年6月10日 20時