第3話 ページ5
私がそう言うと忠臣は目を見開く。
「…ふざけた事を言うな。我は直されると“ウンエイ”に聞いた。すぐ元に戻ると…」
『実はね、バグが直されると“記憶”は別の“身体”に移されて、“バグに侵された身体”は捨てられるんだよ。
多分その事を知っているのはここに来た奴らだけ。
本データの奴らはその事を知らずに“上”で過ごしてるんだよ』
私がそう言うと、忠臣は下を向き、刀を持つ手を緩めた。
それに気づいた2人は忠臣から離れる。
「彼奴も…そうだったのか…?バグを直した彼奴も…“元の”グスタフでは無かったのか…?」
『かもしれないね…』
「そうか…」
忠臣は下を向き、只々、涙を流していた。
ーーー
数時間後、私は壊れてしまった椅子を工作室にしている部屋で直していると、忠臣が入ってきた。
『どうしたの?もしかして私を切りに来た?』
「違う、我もここに住むといいに来たのだ」
『…意外とすんなりと受け入れたね…』
「まだ疑う所はあるがな。
今は行き場所は無い、それに“イレギュラー”というものが時折ここに襲いに来ると聞いた。
其奴らを切る役割、我がやろう」
忠臣は手を差し出し、私は迷いもなく、その手を握った。
『意外と判断が早くて助かるよ。自己紹介まだだったね私はA。腕が溶けるバグをもつヒーローだよ』
「我の名は桜華 忠臣。“容姿がプロトタイプ”のバグを持つものだ。良い勝利をもたらそう」
こうして、忠臣が加ったのであった。
ーーー
あれからまた数ヶ月後、私は屋敷の裏にある畑に居た。
『しかし、ここのデータは凄いなぁ。数日前に植えたタネがもう野菜になってるんだもん』
「私も初めて見た時は驚きましたけれど、ほら、こんな綺麗に輝いてらっしゃるわ」
私の横にいる女性はヴィオレッタ・ノワール。
彼女のバグは“植物”。
身体に薄く細い緑色の蔓がところどころに巻かれており、頭にある花は季節に合わせて様々な花を咲かせる。
彼女がHSを使うとサイレント状態にされた者は蔓に巻かれ、動きも封じられる。
元々彼女は植物も好きだった為、畑や花壇の整備を任せている。
空いた時間には作曲もしているらしい。
「収穫は今日のお昼頃にしようと思っているのだけれど、誰か手伝ってくれる方はいらっしゃらないかしら」
『なら、アタリとグスタフに頼もうか。特にグスタフは慣れさせなきゃいけないし。ちょっと呼んでくるよ』
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から傘(プロフ) - この作品すごく好みでした、次の話も期待しています!! (2020年3月14日 4時) (レス) id: 3a0b2e4785 (このIDを非表示/違反報告)
青蛇(プロフ) - 旅人さん» ありがとうございます。自分的にも気に入っている世界観なのでコレからもお楽しみくださいませ (2019年2月6日 20時) (レス) id: c680f9d767 (このIDを非表示/違反報告)
青蛇(プロフ) - ペンギン太郎さん» ありがとうございます。唯一バグが無いキャラなので性格を少し濃いめ?にしました。アダムも出てくる予定はあるのでお楽しみ下さいませ (2019年2月6日 20時) (レス) id: c680f9d767 (このIDを非表示/違反報告)
旅人(プロフ) - とても楽しく拝見させていただいてます!あまり見ないストーリーと(元からではありますが)個性豊かで魅力的なキャラ達に心奪われました… 尊すぎる 無理のないよう、更新頑張ってください! (2019年2月6日 20時) (レス) id: 42db0291b9 (このIDを非表示/違反報告)
ペンギン太郎(プロフ) - ここのアダムが変態っぽくてすごく好き…応援してます!無理しない程度に頑張ってください! (2019年2月6日 7時) (レス) id: a451b06430 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:青蛇 | 作成日時:2018年11月8日 21時