第28話 ページ32
『ん』
目を覚ますと、見覚えのある天井が見えた。
声も出る。ちらっと顔の下の方を見てみる。
腕が溶けた元の身体だ。
ちゃんと…戻ってこれたんだ。
そういえば仮の身体は…確か波にのまれている時に首が外れて、身体は何処かへ流されていった。
乃保が必死に私の頭と破れたセーラー服を掴んで私の頭を包んで離さないようにしてくれていたのはなんとか覚えている。
「起キマシタカ」
声のする方を見ると、手にはお盆に鍋を乗せてこちらをみているVoidollが居た。
『…乃保とみんなは？』
「乃保サンハ数日前ニ、既ニ目ヲ覚マシマシタ。他ノ方々ハ見回リヲ強化シ、貴女ガ目覚メルマデハ 全員デ警備ヲシテイマス。ソレト足元ニ皆サンカラノ オ見舞イ品ガアリマスノデ」
ベットの足元を見てみると花や子供達が描いたであろう絵などが置いてあった。…随分と心配を掛けてしまった。
『ごめん…迷惑をかけてしまって』
「大丈夫デスヨ、貴女達ガ 無事ニ 帰ッテ来タダケデヨカッタデス」
彼女は目の部分の画面を笑顔にし、ベットの横にある机にお盆を置いた。
「マダ身体ガ本調子デハアリマセンノデ、マダユックリ休ンデクダサイネ？」
彼女はそう言い、部屋を出た。
私は鍋の蓋を開く。中にはお粥が入っていた。
私はそれを食べ、また寝た。
ーーー
ふと、人の気配を感じた。
「よう、起きたか？」
『13…おはよう』
目を開けると13がいた。一瞬“向こうの方”の奴を思い出しそうになったが、マスクの口部分は破れている。大丈夫、あいつじゃない。
「…すまねぇ、あの時俺が早くお前に追いついていたら」
『…大丈夫だよ、私は無事にここに戻れたし身体も戻った。…それにアイツと顔を合わせなくて済んだ』
「アイツ？」
『私の“プレイヤー”だよ。私はアイツが嫌いだったから…顔を合わせてたらここに戻ってこれなかったかもしれない』
「そうか…なぁ、いきなりだけどよ…手ぇ握っていいか？」
『どうぞ』
13は私の溶けた手を握る。強く、痛くないほど握る。
「…よかった…本当に戻ってきてくれて…無事で…」
彼は顔を下に向け、涙を地面に落としていた。
私は空いた手を彼の頭に乗せ、撫でた。
彼にも、みんなにも心配をかけた。
しっかりせねば。みんなを守り、そして目標を達成せねば。
私はそう心に誓ったのだった。
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から傘(プロフ) - この作品すごく好みでした、次の話も期待しています!! (2020年3月14日 4時) (
レス) id: 3a0b2e4785 (このIDを非表示/違反報告)
青蛇(プロフ) - 旅人さん» ありがとうございます。自分的にも気に入っている世界観なのでコレからもお楽しみくださいませ (2019年2月6日 20時) (レス) id: c680f9d767 (このIDを非表示/違反報告)
青蛇(プロフ) - ペンギン太郎さん» ありがとうございます。唯一バグが無いキャラなので性格を少し濃いめ？にしました。アダムも出てくる予定はあるのでお楽しみ下さいませ (2019年2月6日 20時) (レス) id: c680f9d767 (このIDを非表示/違反報告)
旅人(プロフ) - とても楽しく拝見させていただいてます！あまり見ないストーリーと(元からではありますが)個性豊かで魅力的なキャラ達に心奪われました… 尊すぎる 無理のないよう、更新頑張ってください！ (2019年2月6日 20時) (レス) id: 42db0291b9 (このIDを非表示/違反報告)
ペンギン太郎(プロフ) - ここのアダムが変態っぽくてすごく好き…応援してます！無理しない程度に頑張ってください！ (2019年2月6日 7時) (レス) id: a451b06430 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：青蛇 | 作成日時：2018年11月8日 21時
