第17話 ページ21
あれから数日後、私は休みを取り、屋敷の庭にあるベンチで横になり、読んで居た資料を顔に乗せていた。
「ちょっとAちゃん、こんな所で寝ちゃダメよ？晴れていても寒いわよ」
『うん…うっ、眩しい…ポロ姐がいつもより眩しい』
「久しぶりのいいお天気だもの！ワテクシも動きやすいわ！」
ポロロッチョはカゴに入っている布を庭にある洗濯竿に干していく。
最近は雪空が多かった為、彼女はあまり外に出られなかった。
あれから、私の目は今の所は特に変化はなく、ただ目が赤くなっただけだとVoidollに言われた。
そしてソーンは目を覚まし、実兄であるアダムと戦闘訓練と見回りをしている。
背中に生えていた羽はイスタカと同じ様に空を飛び、そして足元から氷の小さな花を咲かせていた。
花はすぐに溶け、消えるから問題はなく、HSも通常通りに使えるとのこと。
しかしまだオドを使うのは練習中らしい。
しかし、アダムが私をみるときの目がやはりおかしい。すごい熱を感じる視線が突き刺さる。
私は布を干しているポロロッチョに声をかける。
『ねえポロ姐』
「なぁに？」
『“上”に戻りたい？』
「そうねぇ…でも、ワテクシはこの“バグ”の所為で夜や夕方のアリーナでは全然動けないのよ。それでよく“あの子”に迷惑をかけていたわ」
ポロロッチョのデータのプレイヤーは“自称ガチ勢”と呼んでいたらしく、自分の所為で負けても相手の所為にし、ヒーローの所為にもしていた。
特にポロロッチョのこの“バグ”の所為で他のヒーローより追い詰められていた。
最初、ここに来た時はすごく暗くなっていたが、今は本来の明るさを取り戻している。
もし、戻れたとしてもまたあの生活に戻るだけだ。
しかし、そのデータに残されたヒーロー達の事を気にかけているらしい。
「でも、データを完全に消す事なんて無いから、たとえ“あの子”が彼処に来なくなっても、他の子達が解放されることもなく、永遠にあのデータに残されたまま…せめて、他の人がやってくれていればいいのだけれど…」
『データ移行か…それが最後の望みだね』
データ移行。
他の端末にデータを移し、他の人が新たなプレイヤーになることがある。
しかしほとんどは新たな端末を購入したプレイヤーがほとんどである。
新たなプレイヤーがやるなんて稀だ。
ここにいる奴らはデータに戻りたい者と消えたい者がいる。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 68人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
から傘(プロフ) - この作品すごく好みでした、次の話も期待しています!! (2020年3月14日 4時) (
レス) id: 3a0b2e4785 (このIDを非表示/違反報告)
青蛇(プロフ) - 旅人さん» ありがとうございます。自分的にも気に入っている世界観なのでコレからもお楽しみくださいませ (2019年2月6日 20時) (レス) id: c680f9d767 (このIDを非表示/違反報告)
青蛇(プロフ) - ペンギン太郎さん» ありがとうございます。唯一バグが無いキャラなので性格を少し濃いめ？にしました。アダムも出てくる予定はあるのでお楽しみ下さいませ (2019年2月6日 20時) (レス) id: c680f9d767 (このIDを非表示/違反報告)
旅人(プロフ) - とても楽しく拝見させていただいてます！あまり見ないストーリーと(元からではありますが)個性豊かで魅力的なキャラ達に心奪われました… 尊すぎる 無理のないよう、更新頑張ってください！ (2019年2月6日 20時) (レス) id: 42db0291b9 (このIDを非表示/違反報告)
ペンギン太郎(プロフ) - ここのアダムが変態っぽくてすごく好き…応援してます！無理しない程度に頑張ってください！ (2019年2月6日 7時) (レス) id: a451b06430 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：青蛇 | 作成日時：2018年11月8日 21時
