にじゅうさん！ ページ25
*
«No side»
『....酷いよ』
｢え.......？｣
雰囲気の変わったAに動揺する花子。
ゆっくりと顔を上げた彼女の目は虚ろで。
花子が防衛のため包丁を取り出す。
その仕草に戸惑いはなかった。
その異様な緊迫感に全員の注目が2人に集まる。
｢....ハナ｣
『酷い....酷いよ花子くん.....』
『私はずっと、ずっと....＿＿』
ふらふらと動き出したAは、
その辺に汲み溜めてあった水入バケツを手に取る。
そしてそれを花子に思いっ切りかける。
水が花子にぶつかる寸前、鋭利に変形した。
｢う"ぁ"っ｣
『....』
花子に水が刺さり、傷口から血のようなものが吹き出す。
｢ｯｯ花子くんｯ？！｣
｢先輩ダメっす！今行ったら先輩が危ない！！｣
｢嫌ｯ！離して！！花子くんがｯ！！｣
｢ ＿ハナちゃん、なんで？！｣
『....なんで？』
｢ぇ....ハナ、ちゃん.....？｣
『わからないよね。知ってた』
『説明なんてしないよ』
｢......え.......？｣
*
どうせ八尋さんにはわからない。
分かられてたまるか。
自分は人の恋を応援するようなこと言って。
"思わせぶりなことしないで"、なんて。
本当に思わせぶりなのは、貴女じゃない？
いいよね、八尋さんは。
いつも大勢の人に囲まれて。
ずっと笑って過ごせる環境にあって。
好きな人とも両想いで。
好きな人に話しかけられない私を見て、
惨めだって指差して笑ってたんでしょう？
＿＿なんて。
知ってるんだよ。
本当はわかってる。
八尋さんがそんな人じゃないこと。
でも、いつも花子くんの隣にいるのは八尋さんで。
私の中で、彼女に対する劣等感は日に日に増えていた。
ﾎﾟﾀﾘ
『ｯ』
涙が、頬を伝って落ちて、刺さった。
足元に血が広がる。
痛い。
足も。
心も。
*
*
虚ろな目をした少女は、泣き続けました。
落ちた涙は、
抑制しきれなくなったチカラによって変形し、
少女の足にどんどん突き刺さっていきました。
﹎ ﹎
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 188人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
心音 - すっごい面白いですね。名字同じグヘへへへ (2021年2月9日 7時) (
レス) id: 151c54b00a (このIDを非表示/違反報告)
五十嵐 - もう好き。ストーリーとか全部好き。絶対最後まで応援しますっ！！ (2020年4月7日 18時) (レス) id: c104286198 (このIDを非表示/違反報告)
遥 - いつ更新しますか?お楽しみ (2020年4月7日 11時) (レス) id: 08cfac3417 (このIDを非表示/違反報告)
刃華禰 - この話めちゃおもろいっすね！更新楽しみにしてます！ (2020年3月19日 4時) (レス) id: 022f9f82f7 (このIDを非表示/違反報告)
若葉 - わーい！！お揃いだぁ（≧∇≦） (2020年3月6日 23時) (レス) id: 4dface175c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：華獄 | 作成日時：2020年2月18日 7時
