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「退院おめでとう！
そして夫婦1年目、ありがとう！」
退院日はテンションの高い辰哉が
私服に着替えて病室で待っていた私を見るなり
勢いよく飛びついてきて私にキスをした。
「俺もいるんだけど。」
「見せつけてんの。」
「うぜぇ。」
運転ができない辰哉に代わって
車で迎えに来てくれた照くんの手には
タピオカと書かれた紙袋がぶら下がっていて
本当に持って来たんだと思うと笑いが堪えきれなかった。
「今回も無事に退治できた？」
笑顔で聞いてくる辰哉に黙り込んでしまって
照くんの方を見ると静かに頷いていた。
私は深呼吸をひとつすると
辰哉を強く抱きしめながら本当の事を話した。
「もう、治らないの。」
「え、どういうこと…？」
「余命、あと一年ぐらいだって。」
辰哉はどんな反応をするんだろうか
黙っていたことを怒る？
それともいきなりの事で現実が受け入れられない？
私のために泣いてくれる？
そんなことを頭の中でぐるぐる考えていると
抱きしめていた体をゆっくり離された。
「そっか、じゃあAの好きなこと
この一年で沢山しないと！」
予想外の返事に、私も照くんも驚いて言葉が出ない。
そんな私たちの反応に辰哉も何故か驚いて
謎の沈黙した時間が流れた。
「えっと、辰哉？」
「なんでそんな驚いてんの？」
「いや、その、
もっとこう逃げ出したりするかと…。」
辰哉は私の言葉を聞くと小さく溜息をついて
また私の事を抱きしめて頭を撫でてくれた。
「言ったじゃん、俺は逃げないって。
俺ができることはAの好きなことをして
少しでも長生きさせることだけ。」
辰哉の言葉は、どんな薬よりも効果があって
さっきまで重かった心が軽くなっていく。
後ろにいる照くんも目を潤ませて微笑んでいて
死への恐怖が少し薄れた気がした。
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ねこ - 思わず感動して大号泣してしまいました、こんな素敵な話に出会えてよかった。ありがとうございます。 (10月26日 18時) (
レス) @page35 id: 0201ad6d5f (このIDを非表示/違反報告)
ゆな(プロフ) - 拝読しました。途中から“もしかしたら。。。”という思いがよぎり読み進めており、最後の方は涙が止まりませんでした。いろんなことを考えさせられました。とても素敵な作品です。 (2023年1月18日 16時) (レス) @page35 id: 362aab2dda (このIDを非表示/違反報告)
マシ(プロフ) - 大号泣しました。最高の作品でした。 (2021年7月3日 1時) (レス) id: 4e17f70d50 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - 未さん» 読んでいただいてありがとうございました！そう言っていただけてすごく嬉しいです！ (2021年4月2日 20時) (レス) id: 182e74d2ca (このIDを非表示/違反報告)
未(プロフ) - 今更ながら作品読ませていただきました（ ; ; ）生きるという言葉の意味を綺麗な言葉ながらに深く込められていた心に刺さる作品でした！これからも愛読させていただきます！ (2021年3月15日 11時) (レス) id: dd8bdcffd2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぱぐたろう
| 作成日時：2021年1月27日 20時
