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「再発…ですか。」
それから再発が発覚するのは早かった。
いつも治療に前向きな、何年もお世話になっている担当医が
今回は表情を曇らせて私を見ている。
「もう、いろんなところに転移しているし
…その、手術をしたところで…。」
「入院はしなきゃいけないですか？」
「呼吸器が怪しいから半年ぐらいかな。
でも、その後は望むなら自宅療養でも大丈夫。」
ついにこの時が来てしまった。
永遠を信じてしまったつけが回ってきたようだった。
「A誕生日おめでとう。」
「ありがとう照くん。」
26回目の誕生日を迎える日、
私の、人生最後の入院生活が始まった。
辰哉は私の入院費と結婚式費用を稼ぐと
出勤前に病室に訪れ張り切った様子を見せて行った。
「…、何か隠してるだろ。」
「何でわかっちゃうの？」
「何年隣にいたと思ってんの？」
辰哉より長く、私の隣にいてくれた
そんな照くんには隠しごとなんてできなくて
ついに余命を言い渡されたことを告げた。
「俺は、ふっかにも言った方がいいと思う。」
「退院したら言おうと思ってる。
…わがままだけどもし真実を伝えて
病院に来てくれなくなったらって考えると
怖くて仕方ないの。」
「そっか。」
照くんはそれ以上何も言わなかった。
今日は雨が降っていて月も星も見えない、
藍色の夜空が見えないぐらい濁った雲が全部を覆って
沢山の雨水を街に降り落としていた。
「今年も行きたかったな、出雲大社。」
「退院予定日とかぶってるんだっけ？」
「そうなの、1月27日。」
誕生日に入院して結婚記念日に退院。
昔からだけど本当に間が悪くて
どこまでもついていない自分に嫌気がさす。
「じゃあお土産もってお祝い行くわ。」
「お土産って？」
「タピオカ。」
「記念日にタピオカ？いらない！」
こうやって笑い追うことをあと何回出来るのか
そんなことを考えると不安が心を蝕んだ。
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ねこ - 思わず感動して大号泣してしまいました、こんな素敵な話に出会えてよかった。ありがとうございます。 (10月26日 18時) (
レス) @page35 id: 0201ad6d5f (このIDを非表示/違反報告)
ゆな(プロフ) - 拝読しました。途中から“もしかしたら。。。”という思いがよぎり読み進めており、最後の方は涙が止まりませんでした。いろんなことを考えさせられました。とても素敵な作品です。 (2023年1月18日 16時) (レス) @page35 id: 362aab2dda (このIDを非表示/違反報告)
マシ(プロフ) - 大号泣しました。最高の作品でした。 (2021年7月3日 1時) (レス) id: 4e17f70d50 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - 未さん» 読んでいただいてありがとうございました！そう言っていただけてすごく嬉しいです！ (2021年4月2日 20時) (レス) id: 182e74d2ca (このIDを非表示/違反報告)
未(プロフ) - 今更ながら作品読ませていただきました（ ; ; ）生きるという言葉の意味を綺麗な言葉ながらに深く込められていた心に刺さる作品でした！これからも愛読させていただきます！ (2021年3月15日 11時) (レス) id: dd8bdcffd2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぱぐたろう
| 作成日時：2021年1月27日 20時
