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病は気からなんていうけど本当だったみたいで
あの日から猛スピードで回復していって
医者が驚くほどの治癒力を発揮した。
そして何度目かの治療が終わり、退院することができた。
「あのさ、心配だから一緒に住まない？」
「へ、でも…。」
「結婚するんだから予行練習も兼ねてさ？」
相変わらず簡単にそんなことを言い出す彼には
3年以上一緒にいてもついていくことができない。
「結婚…できるといいね。」
深澤さんのあの言葉で付き合うことに踏み切ったけど
結婚となると話は別で、そもそも結婚する年まで
このおんぼろな心臓がもつかも分からない。
「Aちゃん。」
「なに？」
「言ったじゃん、いずれは彼氏ゆくゆくは旦那になるって、
俺、有言実行がモットーだから。」
言霊でも宿っているんじゃないかと思うほど
不思議なくらいに私の不安を取り除いてくれる。
結局、深澤さんの押しに負けて
付き合ってまだ半年で同棲を始めた。
「何でベッドの隙間にタオルため込むわけ？」
「癖なんだよ。」
こんななんてことない喧嘩はしょっちゅう起きたけど
なんだかそれさえも楽しくて、
拗ねてゲームをしている深澤さんに
ノンアルコールの缶ビールを二つ差し出せば
彼は拗ねた顔のままおつまみを渡してくる。
それが仲直りの定番となっていった。
「次の旅行さ、ここなんてどう？」
「出雲大社か、いいね。」
深澤さんも私も旅行をするのが大好きで
休みを合わせて毎月のようにあちこちに出向いていた。
「拗ねて先に目的地行かないでよ？
探すの大変なんだから！」
「あれは、ごめんって。」
彼の拗ね癖は難儀なもので、旅行前に喧嘩すると
私が寝ている間にさっさと準備して
勝手に目的地へと行ってしまう。
電話にも出てくれないし、本当に困ったものだ。
私がいつもの缶ビール二つを片手に目的地に向かえば
その土地の名産物を持った深澤さんが
不貞腐れた顔で駆け寄ってくるのがお決まり。
「今回は絶対、そんなことしないから。」
そう言う彼の表情はとても真剣で
こちらにまで緊張感が走ってきた。
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ねこ - 思わず感動して大号泣してしまいました、こんな素敵な話に出会えてよかった。ありがとうございます。 (10月26日 18時) (
レス) @page35 id: 0201ad6d5f (このIDを非表示/違反報告)
ゆな(プロフ) - 拝読しました。途中から“もしかしたら。。。”という思いがよぎり読み進めており、最後の方は涙が止まりませんでした。いろんなことを考えさせられました。とても素敵な作品です。 (2023年1月18日 16時) (レス) @page35 id: 362aab2dda (このIDを非表示/違反報告)
マシ(プロフ) - 大号泣しました。最高の作品でした。 (2021年7月3日 1時) (レス) id: 4e17f70d50 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - 未さん» 読んでいただいてありがとうございました！そう言っていただけてすごく嬉しいです！ (2021年4月2日 20時) (レス) id: 182e74d2ca (このIDを非表示/違反報告)
未(プロフ) - 今更ながら作品読ませていただきました（ ; ; ）生きるという言葉の意味を綺麗な言葉ながらに深く込められていた心に刺さる作品でした！これからも愛読させていただきます！ (2021年3月15日 11時) (レス) id: dd8bdcffd2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぱぐたろう
| 作成日時：2021年1月27日 20時
