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＿Meguro side＿
大学に入れば、何かしたいことが
俺のこれからの未来が見つかると思っていた。
でも何も見つけ出すことができないまま、
いつの間にか2年が過ぎ、酒癖だけが身についた。
「あんた将来の事とか考えてるの？」
「考えてない。」
母親からの呆れた声と溜息を耳に入れないように
少し高かったヘッドホンをして雑音から逃げると
自分だけの世界に入れる気がして、
いつの間にか、つけていないと不安が襲うようになっていた。
「寝台列車…？」
「おお、目黒それに興味あるか？」
大学の掲示板に張られた
寝台列車ツアーと書かれたポスターに引き寄せられて
ヘッドホンを外し、ただ何も考えずに眺めていると
白髪交じりの教授が声をかけてきた。
「寝台列車はいいぞ。
新幹線や飛行機より時間はかかるし金もかかるけど
その分自分と向き合うことができる。」
「自分と向き合う…ですか。」
ここに行けば、俺の存在意義も見つかるだろうか。
何かを見つけ出すことができるだろうか。
「これって、どこに申し込めばいいですか？」
「参加用紙渡すから、親御さんと相談しておいで。」
差し出された紙を受け取ると
またヘッドホンをして大学を後にした。
母親は初めて自分からしたいことを言い出した俺を見て
どこか嬉しそうに承諾してくれた。
何もすることがなくて毎日大学へ足を運んでいた俺は
単位を気にせずに日程を組むことができて
あっという間に旅行当日となった。
「あんた、旅行の時ぐらいそれ外したら？」
「別に一人旅行だしいいじゃん。」
少ない荷物をリュックに詰め込んで
黒いヘッドホンを首にかけて家を出ると
澄んだ空気が心地よくて目を閉じた。
東京から出発して、1日目は横浜観光。
最初は東京近辺を回るらしく
同じツアーに申し込んだであろう人たちは各々楽しんでいる。
「結構1人の人多いんだ。」
少し不安だった心が晴れて、
せっかくだから思い切り楽しもうと歩き出すと
綺麗な女性が何かを探しているのか、あちこちを見ながら歩いている。
「タイプ…。」
とはいえいきなり話しかけるわけでもなく
あてもない観光を楽しんだ。
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ねこ - 思わず感動して大号泣してしまいました、こんな素敵な話に出会えてよかった。ありがとうございます。 (10月26日 18時) (
レス) @page35 id: 0201ad6d5f (このIDを非表示/違反報告)
ゆな(プロフ) - 拝読しました。途中から“もしかしたら。。。”という思いがよぎり読み進めており、最後の方は涙が止まりませんでした。いろんなことを考えさせられました。とても素敵な作品です。 (2023年1月18日 16時) (レス) @page35 id: 362aab2dda (このIDを非表示/違反報告)
マシ(プロフ) - 大号泣しました。最高の作品でした。 (2021年7月3日 1時) (レス) id: 4e17f70d50 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - 未さん» 読んでいただいてありがとうございました！そう言っていただけてすごく嬉しいです！ (2021年4月2日 20時) (レス) id: 182e74d2ca (このIDを非表示/違反報告)
未(プロフ) - 今更ながら作品読ませていただきました（ ; ; ）生きるという言葉の意味を綺麗な言葉ながらに深く込められていた心に刺さる作品でした！これからも愛読させていただきます！ (2021年3月15日 11時) (レス) id: dd8bdcffd2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぱぐたろう
| 作成日時：2021年1月27日 20時
