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_you side_




「本日より配属になりました
 神崎Aです、よろしくお願いします!」




「「よろしくお願いします。」」





国家資格に合格し
私が初めて配属された病棟は小児科だった。

子供が好きなこともあって
治療を受ける小さな命を目の当たりにするのは不安だったけれど
自分なりに精いっぱい業務に務めていた。





「仕事となるとさ、
 学生の時とは違う大変さがあるよな。」




「蓮くんは脳神経外科だっけ?
 大変そうだね。」





「まあでも勉強になるよ、
 俺はAの方が心配だよ。」





同じ病院に就職した蓮くんは
私の顔を覗き込むと困ったように笑った。
確かにメンタルに来ることが多くて
ここ最近は食事の量も減っていたから
大丈夫だよという言葉すらも出てこなくなっていた。





「今で精いっぱいなのに
 これから夜勤も始まると思うと、自信ないな。」




「Aが弱音吐くなんて珍しいな。」





心配を掛けたいわけじゃないのに
ため込んでいたものが溢れ出して
自然と涙が溢れ出た私に、蓮くんは慌てていた。





「ご飯行こう!
 19時に上がれたわけだし
 明日は俺達休みだから飲みに行こう、な?」





「…ごめん。」





気を遣ってくれる蓮くんを置いて独身寮に戻ると
お風呂だけ入ってそのまま眠りに着いた。



















最近入院してきた4歳の男の子、武くんは
もう手の施しようがないほどに癌が進行していて
余命宣告も受けていた。


その診断を受けたご両親は
現実が受け入れられなかったようで
そこからぱったりと病院へ来なくなった。





「昨日、クレームが入りました
 病院へ来るようにと催促の電話が頻繁にきて迷惑だって。」




「すいません、」





「神崎さん、少し感情移入し過ぎじゃないのかな
 貴方のやっていることは看護師として素晴らしいけれど
 そのままじゃいずれ潰れてしまうよ。」





“優しさだけが看護じゃないの。”






その言葉の意味が上手く理解できなくて
私に足りない物は何なんだろうと
だんだんと自信がなくなっていった。






私はただの人間だったのかもしれない
何かの手違いで、白衣の天使に選ばれてしまった
そう考えると、辛くて堪らなかった。

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読者A(プロフ) - いつも ぱくたろうさんのお話を読ませていただいていたのですが私事で久しく占ツクを開けていないうちに新作を作られて完結されていたので2日で一気読みさせて頂きましたが、、、安定にボロボロ泣きました…今回も素敵な作品をありがとうございました。 (2023年1月16日 14時) (レス) @page39 id: c0ba04e557 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - 青こなこさん» 最後までありがとうございました!お返事遅くなりすいません。共感していただけて嬉しいです!こちらこそありがとうございました🙇‍♀️ (2022年12月27日 20時) (レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)
青こなこ(プロフ) - 完結おめでとうございます。ぱぐたろうさんの作品、いつも楽しく読ませて頂いています!私も医療系に携わっていることもあり、患者さんとの関わり方や葛藤など、共感するところが多かったです。素敵な作品をありがとうございました! (2022年11月30日 22時) (レス) @page39 id: e1d2c6feb7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぱぐたろう | 作成日時:2022年10月21日 19時

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