第八章 心のモヤ ページ17
＿you side＿
目が覚めると見慣れた景色がそこにはあって
慌てて起き上がると吐き気が込み上げてきた。
そんなことより今日も変わらず実習はある
教員が寝坊なんてシャレにならない。
枕元にあったスマホに手を伸ばしロック画面を見ると
時刻は朝の5時を表示していて、盛大に溜息をついた。
「よかった…
うっ、気持ち悪い。」
安心したら再び襲ってきた吐き気、
恐らく昨日一気に飲み干したあの飲み物が原因だろう。
お酒を頼んだ記憶はないけれど
あれは間違いなく烏龍茶ではなくウーロンハイだった。
「渡辺先生のお酒間違えて飲んだのかな
やばい吐く…無理。」
致し方ないと慌ててトイレに駆け込むけれど
胃の中の物はすでに消化されているようで
全くもって何も出てこない。
「こうなったら薬しかない…。」
とはいうものの、二日酔いの薬なんて家にあっただろうか。
フラフラとした足取りでリビングへ戻り
端に追いやられた薬箱を持ってローテーブルの前に座ると
中を漁りそれらしきものを探し始めた。
「あったけど…これいつのだ…？」
開封済みのその薬は、全く買った記憶がない。
箱をひっくり返し使用期限を見てみると余裕で切れていて
そこでようやく、この薬を購入した経緯を思い出した。
「これ確か成人式の時のやつじゃん！」
成人式後の飲み会で初めて口にしたお酒
その時、明日の朝はこれが必要になりだろうと
帰り際に友人から貰ったやつだった。
友人の言った通り翌日の朝使用したきり
この薬が日の目を見ることはなかった。
「六年前はアウトだよなぁ…」
大抵の薬は、製造後3〜5年が使用期限で
しかもそれは未開封だった場合の話。
六年前の開封済み、明らかにアウトだけれど
もう頼みの綱はこれしかない。
「少しぐらいは効果あるでしょ…」
「馬鹿野郎。」
「いでっ、
何でいるんですか！？」
背後から頭に刺激が走って
勢いよく振り返るといるはずのない渡辺先生がいた。
何故私の家にいるのかと考えていくうちに
あの居酒屋からどうやって帰って来たんだという疑問に変わり
導き出された答えに冷や汗をかいた。
「…もしかして、」
「どっかの誰かさんが居酒屋で爆睡しだしたから
わざわざ家まで送ってやったんだろ。」
完全にやらかしてしまったようだ。
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読者A(プロフ) - いつも ぱくたろうさんのお話を読ませていただいていたのですが私事で久しく占ツクを開けていないうちに新作を作られて完結されていたので2日で一気読みさせて頂きましたが、、、安定にボロボロ泣きました…今回も素敵な作品をありがとうございました。 (2023年1月16日 14時) (
レス) @page39 id: c0ba04e557 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - 青こなこさん» 最後までありがとうございました！お返事遅くなりすいません。共感していただけて嬉しいです！こちらこそありがとうございました🙇♀️ (2022年12月27日 20時) (レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)
青こなこ(プロフ) - 完結おめでとうございます。ぱぐたろうさんの作品、いつも楽しく読ませて頂いています！私も医療系に携わっていることもあり、患者さんとの関わり方や葛藤など、共感するところが多かったです。素敵な作品をありがとうございました！ (2022年11月30日 22時) (レス) @page39 id: e1d2c6feb7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぱぐたろう
| 作成日時：2022年10月21日 19時
