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「おはようございます、
 今日もよろしくお願いします。」




もう少しで情報収集が終わるところで
白衣姿のAちゃんがナースステーションに現れた。
長谷部さんに呼び止められ何かを話しているけれど
恐らく俺の事なんだろうなと申し訳なくなる。




「…ん?」




Aちゃんから視線をずらすと
目黒さんが彼女を見つめていることに気が付いた。
その表情は何処か複雑そうに見えて
頭の中にはハテナマークが浮かぶ。




「佐久間くん、情報収集出来た?」





Aちゃんをずっと見つめている目黒さんを眺めていると
話を終えた長谷部さんが俺の肩に手を置いた。


どうやら俺が二人を眺めていたことはバレていないようで
慌ててパソコンを操作するフリをしつつ
ぎこちない笑顔で返事をした。





「じゃあ患者さんの所行こうか。」




「はい、お願いします!」





二人の事は気になりはするが
今は自分の不甲斐なさで振り出しに戻ってしまった実習が最優先で
長谷部さんの後ろをついて行き
担当することになった患者さんの元へ向かった。




「実習生の佐久間大介です、
 急ではありますが今日からよろしくお願いします!」




「よろしくね!
 …頬っぺた大丈夫?」




「転んじゃって…大丈夫です!」





牧野さんの姿は見ていない、
俺を見てまた興奮状態になってはいけないからと
実習生は病室の前を通らないようにということだった。

新たに受け持たせてもらう患者さんは穏やかで
上手くは言えないけれど、すべてを悟っているような人だった。





「あれ、新しい患者さんかいな。」




「え?」





環境整備の止めにベッドの柵を拭きながら
突然そんなことを言い出す患者さんの視線を追いかけた。
そこには廊下を歩くAちゃんがいて
どうやらもう一つのグループの元へ行くところのようだ。





「あの人は俺達の先生です、
 一緒に実習へ来てるんですよ。」




「そうかそうか、
 いやな前に中庭を散歩してたらあの人がおってな
 あまりにも暗い顔して溜息ついとるもんやから
 ここに来たら辛いのも治るよって言ったんやけど。」




「暗い顔してたんですか?」




「もうこの世の終わりみたいな顔しとったわ
 若いのに…大変なんやな。」





しみじみと呟く患者さんから
再びAちゃんのいた方へ視線を戻すと、もうそこにはいなくて
かわりに向かいの病室から出てきた目黒さんが
彼女がいるであろう廊下の先を見つめていた。

・→←第六章 噂の真相



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読者A(プロフ) - いつも ぱくたろうさんのお話を読ませていただいていたのですが私事で久しく占ツクを開けていないうちに新作を作られて完結されていたので2日で一気読みさせて頂きましたが、、、安定にボロボロ泣きました…今回も素敵な作品をありがとうございました。 (2023年1月16日 14時) (レス) @page39 id: c0ba04e557 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - 青こなこさん» 最後までありがとうございました!お返事遅くなりすいません。共感していただけて嬉しいです!こちらこそありがとうございました🙇‍♀️ (2022年12月27日 20時) (レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)
青こなこ(プロフ) - 完結おめでとうございます。ぱぐたろうさんの作品、いつも楽しく読ませて頂いています!私も医療系に携わっていることもあり、患者さんとの関わり方や葛藤など、共感するところが多かったです。素敵な作品をありがとうございました! (2022年11月30日 22時) (レス) @page39 id: e1d2c6feb7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぱぐたろう | 作成日時:2022年10月21日 19時

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