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「渡辺先生そろそろ起きてください。」
「うぐっ、」
昼前になっても起きてこない渡辺先生に
ソファーに置いていたクッションを投げつけると
見事に顔面へ飛んでいき、頼りない声が彼の口から漏れ出た。
「さんざんご迷惑をかけたのは申し訳ないと思ってますけど
私家を出なきゃいけないので早く起きてください。」
「どこ行くんだよ。」
「大学です。」
「はぁ？」
勢いよく飛び起きた渡辺先生を確認すると
温めていたヘアアイロンを手に取った。
「忘れ物したんですよ、
次の実習までに仕上げなきゃいけない資料に必要なんです。」
「何で忘れんだよ…」
「夜に居酒屋でも高級フレンチでも奢りますから
無礼を承知で早く家出る準備してください。」
「風呂貸して、送ってくから
その後そのまま飯食いに行こう。」
そう言うと渡辺先生は
眠そうに目を擦りながら浴室へ向かった。
いつもは面倒見のいい人だな、なんて
ありがたいとしか思っていなかったけれど
やっぱり少し意識してしまうのは、私がちょろいからだろう。
「…ああ、はいはい。」
ぼーっとしているとスマホが振動して
急いでヘアアイロンを片付け画面を確認すると
そこには蓮くんの名前が表示されていて
“昨日は疲れただろうからゆっくり休みなよ
また月曜日からよろしく。”
そんなメッセージにまた懐かしさを感じて
嬉しさから少しニヤけてしまった。
優しいところは今も健在らしい
学生からは怖いと言われているようだけれど。
「一人でニヤけて気持ち悪いぞ。」
「…少しでもときめいた私が馬鹿でした。」
リビングに戻ってきた渡辺先生を睨みつけると
いつもと違って黙り込んでしまい調子が狂う。
一体彼が何をしたいのかがわからない
私をおちょくっているのか何なのか、見当もつかない。
「行くなら早く行こ
休みの日まで大学なんか…寮生と遭遇したらめんどいじゃん。」
「だから一人で行きますよ？」
「ああもう、めんどくせえな
早く準備しろよ。」
なんだか理不尽にキレられたような気がしたけれど
送ってもらえるのはありがたいし
急いで鞄を手に取り立ち上がると玄関へ向かった。
教員の中では一番仲がいいと思っていたけれど
こんなに行動を一緒にする時間が長いのは初めてで
昨日の事もあり妙に緊張してしまう。
それは渡辺先生も一緒なようで
彼の耳はほんのり赤く染まっていた。
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読者A(プロフ) - いつも ぱくたろうさんのお話を読ませていただいていたのですが私事で久しく占ツクを開けていないうちに新作を作られて完結されていたので2日で一気読みさせて頂きましたが、、、安定にボロボロ泣きました…今回も素敵な作品をありがとうございました。 (2023年1月16日 14時) (
レス) @page39 id: c0ba04e557 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - 青こなこさん» 最後までありがとうございました！お返事遅くなりすいません。共感していただけて嬉しいです！こちらこそありがとうございました🙇♀️ (2022年12月27日 20時) (レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)
青こなこ(プロフ) - 完結おめでとうございます。ぱぐたろうさんの作品、いつも楽しく読ませて頂いています！私も医療系に携わっていることもあり、患者さんとの関わり方や葛藤など、共感するところが多かったです。素敵な作品をありがとうございました！ (2022年11月30日 22時) (レス) @page39 id: e1d2c6feb7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぱぐたろう
| 作成日時：2022年10月21日 19時
