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＿you side＿
「ここ最近顔色悪すぎだぞ。」
「自覚はあります。」
もはや恒例とも言えるこのイジリに肯定の言葉を返すと
渡辺先生は首を傾げて頭を掻いた。
中庭のベンチに座っていた私の隣へ遠慮がちに腰かけると
調子が狂ったのか目を泳がせ遠くを見ている。
「なんでそんな浮かない顔してんだよ。」
「…実習の担当教員になったのはいいんですけど、」
まだ生徒には配っていない実習グループ表を見せると
渡辺先生は食い入るようにその紙を覗き込む。
人差し指で紙をなぞりながら一人ずつ名前を確認していくと
ピタッとその指の動きが止まり、渡辺先生は声を漏らした。
「佐久間受け持つのがそんなに嫌なのか…？」
「違います！
少し上を見てください。」
渡辺先生の手を握って、人差し指の位置を少し上に移す。
そこに実習先の病院名とその病棟が書かれていて
ぽかんと口を開けていたけれど、それを見て察しがついたのか
今度は小さく唸り声を上げた。
「ここって、Aの元職場…」
「正確には元職場と同じ系列の病院です。」
昔働いていたのは総合病院だけれど
今回の実習先は大規模な精神科病院だ。
グループ表をファイルにしまって鞄にしまうと
自然に出た溜息は快晴の空へと消えていった。
「まあでも…同じ系列とはいえ別の病院なんだから
気にすることないんじゃね？」
「今はわかりませんけど
私が働いていた時は二つの病院内で異動がありました。」
「それ考えたって幾つ病棟あると思ってんだよ
そんな偶然ねえって。」
確かに渡辺先生の言う通りで
心配し過ぎなのもわかっている。
それでも蘇ってくる過去の記憶に背筋が伸びて
嫌な汗が額に滲み出てきた。
「…気にすることねえじゃん。」
「え？」
「お前は何一つ悪くねえんだから、堂々としてりゃいいんだよ。
そんな顔でいたら学生だって頼りずれえだろうし
病棟の中で絶対的な味方なのは担当教員だけなんだから
もっと胸張って、ほら。」
正論でしかない渡辺先生の言葉に自分を奮い立たせて
明日に迫った戴帽式の事だけを考えることにした。
学生たちの最初の晴れ舞台なんだ
諸事情でどんよりした雰囲気を醸し出している場合じゃない。
家に帰り明日の準備をしながら
壁にかかっている白衣を見つめる。
私にこれを着て働く資格はあるのだろうか
もう何年も自問自答を繰り返しているけれど、答えは出ない。
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ぱぐたろう(プロフ) - 翡翠さん» コメントありがとうございます！読んでくださって嬉しいです！ここから後半戦に入りますので、ゆっくりにはなりますが最後までよろしくお願いします🙇♀️ (2022年10月21日 19時) (
レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - 最新話がなんか切なくて泣いちゃいました(;_;) 毎回更新して下さるの嬉しいです(><) 無理の無い程度に更新頑張ってください、！ (2022年10月17日 23時) (レス) @page40 id: 4d27a85535 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - aggyさん» はじめまして！コメントありがとうございます🙇♀️そう言っていただけて嬉しいです！最後まで頑張ります！ (2022年9月24日 19時) (レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)
aggy(プロフ) - はじめまして、コメント失礼致します。わかりみが深すぎるお話で続きが気になります！どうなっていくのか楽しみにしてます！ (2022年9月24日 10時) (レス) id: f3f23b79cb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぱぐたろう
| 作成日時：2022年9月23日 18時
