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運だけはいいと自負している。
俺が試験を受ける際に使うベッド番号の横に書かれた試験官の名前は
何度見返してもAちゃんで、思わずガッツポーズをしてしまった。



身だしなみのチェックを受けてベッドに向かうと
白衣姿のAちゃんがバインダーを持ってスタンバイしていた。
俺の顔を見るなり、片手で小さく拳を作って笑みを浮かべる彼女に
根拠はないけれど自信が湧いてきた。




「お願いします!」




結果から言うと、かなり上手くいった。
担当教員がAちゃんだったから変に緊張することもなく
いい意味で肩の力を抜いて試験に臨むことができた。

暗記テストも受け終わって
すべての試験が終了し、講義室は一気に騒がしくなった。
終わった達成感から笑顔を浮かべる子もいれば
やばいかもしれないと半泣きの子もいて、反応は様々だ。




「どうやった?」




試験が終わり寮に直行すると
部屋の扉前に康二がスタンバイしていて
心配そうに顔を覗き込んできたから、満面の笑みで親指を立てると
安堵からか声を漏らしてその場にしゃがみ込んでしまった。




「ここ最近頑張っとったもんな…
 明日土曜やし照にいが四人で夕飯食べに行けへんかって
 疲れてるならあれやけど、どうする?」




「行く!」



















翌週、朝一に張り出された合格者名簿に
俺の名前はあった、何度も確認をしたから間違いはない。
Aちゃんが恐れていた前代未聞は怒らず
今年も全員が合格ラインに達したようだ。




「よく頑張った!
 本当に貴方だけが気がかりだったの!」




お局教員が両手で俺の右手を掴み
上下にブンブンと振りながら喜ぶ姿は
何とも複雑で、苦笑いを浮かべることしかできなかった。




「女子学生にはナースキャップ
 男子学生には胸ポケットに鈴蘭の花を___」





戴帽式の説明を受ける中
俺の頭の中はすでに実習の事でいっぱいだった。

いわゆる神病棟というやつに振り当てられたい
担当教員は学生に寄り添ってくれるタイプだといいな
初めての実習ぐらいはあたりを引きたいというのが本音だ。




「担当教員もAちゃんだったらなぁ」




なんて呟いた言葉で思い出したのは
少し前にラウールから聞いた、Aちゃんの話。
あのはなしは一体何処からの情報なのか
なんにしても俺は、自分で確証を得るまでは信じるに値しない。





とにかく、看護師になるための道を一歩踏み出せた
それだけで大きな進歩だ。

・→←第三章 戴帽式はスタートライン



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ぱぐたろう(プロフ) - 翡翠さん» コメントありがとうございます!読んでくださって嬉しいです!ここから後半戦に入りますので、ゆっくりにはなりますが最後までよろしくお願いします🙇‍♀️ (2022年10月21日 19時) (レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - 最新話がなんか切なくて泣いちゃいました(;_;) 毎回更新して下さるの嬉しいです(><) 無理の無い程度に更新頑張ってください、! (2022年10月17日 23時) (レス) @page40 id: 4d27a85535 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - aggyさん» はじめまして!コメントありがとうございます🙇‍♀️そう言っていただけて嬉しいです!最後まで頑張ります! (2022年9月24日 19時) (レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)
aggy(プロフ) - はじめまして、コメント失礼致します。わかりみが深すぎるお話で続きが気になります!どうなっていくのか楽しみにしてます! (2022年9月24日 10時) (レス) id: f3f23b79cb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぱぐたろう | 作成日時:2022年9月23日 18時

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