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「今日は本当にありがとう。」




「いいえ、俺も楽しかったし。」




二人きりになった今
照くんはいつもの表情に戻ってしまった。
ラジオから聞こえる陽気な声が車内に響き渡って
どことなくぎこちない雰囲気に視線が泳ぐ。




「あの、」



「どうしたの?」





「ああいや…やっぱりいいや。」




先に口を開いたのは照くんで
私に何かを聞きたい様子なのに
少し気まずそうな表情を浮かべ口ごもってしまった。




「気になるよ、どうしたの?」




「いや、デリカシーない質問だった。」





「デリカシーって
 あ、うちの親が変な事言ったりした!?」




「それは断じてない、
 凄く素敵な二人だったし。」





だとしたら何が言いづらいんだろう。
私の両親への態度が良くなかったのか
やっぱり母が酔いつぶれたのに呆れたのか
いくら考えても、アルコールが回っていることもあり
全くもって見当がつかない。





「その、お父さんとの距離感が気になって。」





運転をしながら、横目で私を気にしつつ
言葉を選んでいるのか少し詰まりながら問いかけてきた。




照くんからのその言葉で
なんとなく気まずそうにしている理由がわかって
両親の説明を省きすぎたのが良くなかったかと
軽く謝って小さく息を吐いた。




「うちの母、再婚したから
 靖幸さんは継父なの。」




「ああ、だから。」





「再婚したの、私が15の時で
 高校は隣の県にあったから寮だったし
 大学はバイトしながら一人でアパートに住んでたから
 あんまり関わる機会なくて。」






学生時代の長期休みも、一応実家には帰っていたけれど
ほとんど友人の家に入り浸っていたし
さっきも言った通り就職してからは一度も帰省していなかった。





だから父親と言われてもいまいちピンとこないし
母には申し訳ないが、私の中で靖幸さんは
知り合いのおじさんというカテゴライズだ。





「いい人なのはわかるんだけど
 血の繋がった父の記憶は鮮明にあるから
 接し方がよくわかんなくて。」





「やっぱりデリカシーなかった
 婚約者でもない俺がズカズカ聞いていい話じゃないよな
 その、ごめん。」





「気にしないで。」








照くんの言葉に胸が少し痛んだのは
家族の話で古傷に触れたからだ、きっとそうだ。

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ぱぐたろう(プロフ) - かなさん» ありがとうございます🙇‍♀️深澤さんまさかの気づいてなかったという😳笑 いよいよ折り返し地点で後編がスタートしますが最後まで楽しんでいただければ嬉しいです💛 (2022年6月24日 18時) (レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)
かな(プロフ) - ざわ絶対好きだろうなと思ったら鈍感でかわいかったです🥰わら そして照さんご両親にまさかのカミングアウトでこれからの展開がより楽しみです!更新楽しみにしてます☺ (2022年6月16日 20時) (レス) @page38 id: 6205cccaf8 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - ayaさん» いつもありがとうございます🙇‍♀️今回も波乱の予感満載ですが最後までお付き合いいただければ嬉しいです💛 (2022年6月6日 21時) (レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - mrkt2601さん» いつも読んでくださってありがとうございます🙇‍♀️今回のお話も最後まで楽しんでいただけるように頑張ります! (2022年6月6日 21時) (レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)
aya(プロフ) - お疲れ様です(*^^*)新作ありがとうございます!契約結婚や偽装系からの同棲のようなお話大好きなので一段と気になります☺️今回のお相手は岩本さん✨どうなるのか楽しませて頂きます!! (2022年6月5日 18時) (レス) @page7 id: ff23500b61 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぱぐたろう | 作成日時:2022年6月4日 20時

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