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「私独身じゃん。」
体に染みついてしまった生活は
過去に戻ったからといって抜けるわけもなく
急いで帰る必要もなくなった今
どっと肩の力が抜けて動けなくなってしまった。
「飲みに行けばよかった。」
亜藍はちゃんとご飯を食べさせてもらえてるだろうか
一人で寂しく泣いていないだろうか。
そんな心配をしたって、過去にはまだ存在していない息子に
今の私ができることは何もない。
でも私にだって母性はあるわけで
何かをしていなければ無意識に考えてしまう。
それならいっそお酒を飲んで羽を伸ばして
今だけでも忘れられるようにすればよかった。
「生きるの下手くそだな、私。」
「A！！」
ドキリと心臓が音を立てて
聞き間違えるはずのない彼の声に体が強張る。
きっと何かの間違い、そう言い聞かせながらも
ゆっくりと振り返れば奴はいた。
「まじか。」
「あ、ちょっと！！」
あの煩悩野郎はTPOを知らないのか。
法衣姿の翔太は私に近づいてくるけれど
私はもうかれと関わらない人生を選んだわけで
再び鞄を抱えて走り出した。
「A待って！」
「は、追いかけてくるな！！」
女相手にスクーターで追いかけてくるこいつは馬鹿なのか。
どうしてこんな男を生涯の伴侶に選んだのか
勢い任せなところのある若い時に
人生の重要な選択をするのは危険だ。
「お願いだから話聞いてってば！」
「聞くことなんてない！」
歩行者の視線が痛いほどに突き刺さって
話を聞けばいいものを、走る足は止まらない。
育児に疲れて思考が麻痺していただけで
どうやら翔太への愛情は朽ち果てていたようだ。
「待てって…っ！」
乗り物相手に逃げ切れるわけもなく
悪あがきで逃げ込んだ裏路地は少し進むと行き止まりで
何処かにスクーターを停めてきた翔太が駆け寄ってきた。
「もう話は終わったでしょ！」
「あんな一方的な婚約破棄認められるかよ！」
「元はと言えばあんたが浮気したんでしょ！」
お互い肩で息をして呼吸を整えながらも
強い口調での言い合いが始まる。
話し合いたいという割に浮気を突き付ければ黙り込んで
ますます翔太への恨みつらみが募っていった。
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山西 陽朔 - 素晴らしい小説ですね!次回作は、南無妙法蓮華経と唱えることで万人が成仏できることを物語にするのはどうでしょうか。 (2023年4月30日 18時) (
レス) id: aaea05e353 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - (名前)さん» ありがとうございます！最後まで楽しんでいただけるよう頑張ります☺️ (2022年4月21日 20時) (レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - ayaさん» お久しぶりです🙇♀️そう言っていただけて嬉しいです、後々明らかになっていくので最後まで御付き合い頂ければ嬉しいです！ (2022年4月21日 19時) (レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - さんたさん» ただいまです！！またこれからよろしくお願いします🙇♀️ (2022年4月21日 19時) (レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - かなさん» ただいま戻りました！過去作読み直していただけて嬉しいです☺️またよろしくお願い致します！ (2022年4月21日 19時) (レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぱぐたろう
| 作成日時：2022年4月3日 19時
