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_you side_




「…夢じゃなかった。」





再び訪れた人生の選択肢。
怒りに任せてあっけない恋の終わりを迎え
この状況を深く考えないまま眠りについた。




きっと翔へのストレスが夢に反映されたんだ
目が覚めれば再び私は一児の母に戻るんだろう。
なんて呑気に考えていたのだけれど
目を覚ましても目の前に広がる四年前の現状は変わらなかった。




「A何やってんの、仕事遅れるよ。」




「ああ、ごめん。」




いつまでたっても下に降りてこない私を心配して
部屋まで呼びに来てくれた母に慌てて返事をする。



ショートカットだった母の髪はセミロングになっていて
辞めたはずの仕事に行くよう促されるこの状況から見ても
やっぱりここは四年前の世界なんだと納得せざる負えなくなった。




「結構ブランクあるけど大丈夫かな」




「ほら、朝ごはん冷めちゃうよ。」




適当な服に着替えてメイクを済ませると
一階から再び母の声が聞こえて来て急いで階段を下りた。




「あんた大丈夫?
 まあ入社して一年で結婚報告なんて緊張するだろうけど
 こういうことは早く言っとかないとね。」




母のその言葉で記憶が蘇ってきて溜息が出る。
そう言えばあの浮気騒動があった翌日に
会社に結婚することを伝えたんだった。




「そうだA、
 翔太くんにこのお札に有効期限あるのか聞いといてくれ
 最近また家から変な音がするからさ。」




「家が古いんだから家鳴りぐらいするってば。」




祖父と母の言い合いを横目に
味噌汁を飲み干して両手を重ねた。
立ち上がって流しに使った食器を持っていくと
くるりと振り返って二人に目を向けた。




「その必要なくなった。」




「え?!
 だってあんた一年社会経験積んだら結婚って
 翔太くんと話し合ったんでしょ?」




「私結婚しないから。」





そんな爆弾発言を残して玄関に向かうと
大きな足音を立てて二人が駆け寄ってきた。
気の止めることなく靴を履き立ち上がると
同時に喋っていて聞き取れない二人の声を遮るように咳ばらいをした。





「結婚もしないし恋もしない
 一生独身貴族なんで
 孫とひ孫は兄貴に任せた!」





目を丸くして固まっている二人を無視して扉を閉めると
清々しいほどに晴れ渡った青空の下を歩き出した。
何だか肩の荷が下りたのか体が軽くて
少し小走りに駅へと向かった。

・→←第一章 新たな人生 



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山西 陽朔 - 素晴らしい小説ですね!次回作は、南無妙法蓮華経と唱えることで万人が成仏できることを物語にするのはどうでしょうか。 (2023年4月30日 18時) (レス) id: aaea05e353 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - (名前)さん» ありがとうございます!最後まで楽しんでいただけるよう頑張ります☺️ (2022年4月21日 20時) (レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - ayaさん» お久しぶりです🙇‍♀️そう言っていただけて嬉しいです、後々明らかになっていくので最後まで御付き合い頂ければ嬉しいです! (2022年4月21日 19時) (レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - さんたさん» ただいまです!!またこれからよろしくお願いします🙇‍♀️ (2022年4月21日 19時) (レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - かなさん» ただいま戻りました!過去作読み直していただけて嬉しいです☺️またよろしくお願い致します! (2022年4月21日 19時) (レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぱぐたろう | 作成日時:2022年4月3日 19時

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