・ ページ44
・
「翔太おかえり〜。」
「おお…あれ、涼太は？」
「なんか電話来て外行ったよ
すれ違わなかった？」
「見てねえけど。」
再び二人の待つ席へ戻ると
そこにいたのはスマホゲームをしている佐久間だけで
気になりつつもソファーに腰かけ外を眺めていると
しばらくしたら硬い表情の涼太が戻ってきた。
「なんでそんな顔してんだよ。」
「ちょっと喧嘩、
上手くいかないことって続くものだね。」
「ああ、そういう事。」
佐久間を奥に押し込んでソファーに座る涼太は
スマホをテーブルに置いて唸り声の様な声を出す。
お互い親のせいで苦労している
仲が悪いのに結婚のタイミングも俺らを産むタイミングも一緒なんて
現状を含めてかなりのブラックジョークだ。
「今日は用事があるみたいだから
それが終わる頃見計らって迎えに行くよ。
とにかくもう一回連絡して
話し合おうって提案してみる。」
「お前はいいよな、取り合ってもらえて。」
「そりゃあ俺は普段から不満が溜まるような行動してませんから。」
「こんな時に嫌味言うなよ、今は戦友だろ？」
涼太はそんな俺の声を無視して
荷物を持ち、店を後にした。
残された俺と佐久間の間には沈黙が続いて
相変わらずスマホゲームをしているこいつに溜息をつくと
ラインを開いてAとのやり取りを見返した。
「翔太はこれからどうするの？」
「どうするって？」
「Aちゃんと話す前に済ませなきゃいけないこと
一つもできてない気がするけど。」
「この状況で済ませられると思うか？」
無理だね、なんて言って
ケラケラ笑う佐久間の足を思いきり踏むと
雑魚が死ぬときの声がファミレスに響く。
「お前、鬼の念仏以下だな。」
「鬼？念仏？」
「お前とは一生ソーシャルディスタンスだ！」
痛がりながら大きな瞳にうっすら涙の膜を張る佐久間を置いて
ファミレスを出ると入り口の前で立ち止まる。
こんなことでうじうじしていても
堂々巡りで何も前に進まない。
こうなったらあとの事は気にせず話すしかない
腹をくくって深く息を吸い込むと
勢いよく吐き出して駆け出した。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2233人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SnowMan」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
山西 陽朔 - 素晴らしい小説ですね!次回作は、南無妙法蓮華経と唱えることで万人が成仏できることを物語にするのはどうでしょうか。 (2023年4月30日 18時) (
レス) id: aaea05e353 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - (名前)さん» ありがとうございます！最後まで楽しんでいただけるよう頑張ります☺️ (2022年4月21日 20時) (レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - ayaさん» お久しぶりです🙇♀️そう言っていただけて嬉しいです、後々明らかになっていくので最後まで御付き合い頂ければ嬉しいです！ (2022年4月21日 19時) (レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - さんたさん» ただいまです！！またこれからよろしくお願いします🙇♀️ (2022年4月21日 19時) (レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - かなさん» ただいま戻りました！過去作読み直していただけて嬉しいです☺️またよろしくお願い致します！ (2022年4月21日 19時) (レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ぱぐたろう
| 作成日時：2022年4月3日 19時
