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「「かんぱーい！！」」
二つ返事でOKを出せば
薫はすぐに千葉まで駆けつけてくれた。
最寄りの駅まで迎えに行くとすでに彼女の姿はあって
久しぶりのその姿に頬が緩むのが分かった。
酒屋に入って個室の席に腰かけると
早速生ビールを二つ頼んで
ジョッキ同士を軽く当てて乾杯すると
思いのほか大きく出てしまった声に二人して笑った。
「Aがいなくて寂しい。」
「ありがと、」
「ホントだよ？
…楽しい席でこんなこと聞くのは野暮だけど
A、本当に別れるの？」
楽しい話もほどほどに
やっぱり会話の内容は翔太とのことになった。
元々話を聞いてもらおうなんて思っていたけれど
いざ向こうから話を振られれば何から話せばいいかわからない。
「別れるのっていうか、別れてるよ。」
「婚約だよ、ただの恋人じゃないんだよ？
そんなに簡単に終わらせられるの？」
「そんなもんでしょ恋愛なんて。」
自分でも驚くほどに冷たい声が出て
薫が息を飲む音が聞こえるほどに個室が静まる。
独身に戻ってから、確かに大変なことはあるけれど
自分がいかに恋愛に向いていなくて、薄情な人間で
結婚や親になることに向いていない人間なのかが分かった。
自分の気持ちが分からなくて混乱している中わかったのは
私に恋愛は必要なかった、それが答えだった。
「彼氏の何が駄目だったの？」
「全部だよ。
大体私、無宗教で神も仏も信じてなかったのに
僧侶の嫁なんて務まんないよ。」
実質、亜藍を妊娠するまで働いて
今もなお仏を信じていなかった私は
僧侶としての翔太を支えられていたかと聞かれれば
自信をもって首を縦には振れない。
「じゃあなんでそんな浮かない顔してるの？」
「そりゃ好きだったからだよ
いつからこんなに翔太への愛情が枯れちゃったんだろ。」
何があったって嫌いに離れなかった。
デートに袈裟姿で来たって
初めてのプレゼントが魔除け効果のある数珠だったって
翔太と付き合いだしてから怪奇現象が増えたって
愛情がなくなることなんてなかったのに。
「積み重ねなのかなぁ。」
「…。」
「本当に好きだった
あの気持ちに嘘偽りはなかったはずなんだよ。」
恋愛なんてこんなもの、自分でそう言ったはずなのに
翔太と過ごしたあの日々はこんなにあっけなく終わるんだと
そう思うと虚しくて悲しかった。
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山西 陽朔 - 素晴らしい小説ですね!次回作は、南無妙法蓮華経と唱えることで万人が成仏できることを物語にするのはどうでしょうか。 (2023年4月30日 18時) (
レス) id: aaea05e353 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - (名前)さん» ありがとうございます！最後まで楽しんでいただけるよう頑張ります☺️ (2022年4月21日 20時) (レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - ayaさん» お久しぶりです🙇♀️そう言っていただけて嬉しいです、後々明らかになっていくので最後まで御付き合い頂ければ嬉しいです！ (2022年4月21日 19時) (レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - さんたさん» ただいまです！！またこれからよろしくお願いします🙇♀️ (2022年4月21日 19時) (レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - かなさん» ただいま戻りました！過去作読み直していただけて嬉しいです☺️またよろしくお願い致します！ (2022年4月21日 19時) (レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぱぐたろう
| 作成日時：2022年4月3日 19時
