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日が沈んで夕日が家に差し込んでくる。
亜藍はまた泣き出して
やっぱり何をしても泣き止まない。
「もうやだ…っ」
初めて弱音を吐いてしまった。
そんな自分が情けなくて
頭を冷やそうとトイレに籠るけれど
小さな怪獣は最近覚えたハイハイで可憐に廊下を前進し
泣きながらトイレの扉を何度も叩いてくる。
「お願いだから、」
五分、いや三分でいいから一人になりたい。
そう思ったって、望んで子供をもうけたのは私なわけで
こんなことを考えてしまう自分に腹が立って
嗚咽交じりに泣きじゃくった。
「お願いだから…静かにして…、」
ああ、自分は母親失格だ。
こんな親の元に生まれてきた亜藍が不憫で、申し訳なくて
いっそのこと姿を消してしまおうかと思ってしまう。
でも私がいなくなったとして
翔太が面倒を見られるとは思わない。
「誰か助けてよ。」
出産と同時に仕事を辞めて
ひたすら亜藍と向き合う毎日。
誰にも相談できなくて、
毎日家にいることで社会から置いて行かれているようで
自分は一人ぼっちなんだという錯覚に陥ってしまう。
「いっそのこと、
翔太が浮気でもしてくれたら。」
それぐらいしてくれれば
嫌いになって心置きなく出て行けるのに。
ついにそんなことまで考えてしまうようになった
母親を辞めてしまいたい
そんなことが頭を過ってしまう。
「違う、」
浮気でもしてくれたら
そんな言葉を口にしてしまったけれど
実際、彼は結婚前に不貞行為があった。
正確には疑惑止まりなのだけれど
肯定も否定もせずに謝り続ける翔太を
私は許してしまったのだ。
「こんなことなら結婚しなきゃよかった…っ！」
あの時、許さずに別れを選んでいたら
周りの友達のように働いて遊んで、自由に暮らせていたかもしれない。
あの時のプロポーズを受けなければ
また違った未来があったかもしれない。
なんて後悔してしまうほどに
翔太への愛情も、母親としての自覚も薄れてしまっていた。
「いったい…」
頭痛が酷くなってきた。
仏の顔も三度撫でれば腹立てる
あの煩悩野郎はこの言葉を知らないのか。
そんな嫌味を思い浮かべていると
次第に意識が遠のいていった。
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山西 陽朔 - 素晴らしい小説ですね!次回作は、南無妙法蓮華経と唱えることで万人が成仏できることを物語にするのはどうでしょうか。 (2023年4月30日 18時) (
レス) id: aaea05e353 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - (名前)さん» ありがとうございます！最後まで楽しんでいただけるよう頑張ります☺️ (2022年4月21日 20時) (レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - ayaさん» お久しぶりです🙇♀️そう言っていただけて嬉しいです、後々明らかになっていくので最後まで御付き合い頂ければ嬉しいです！ (2022年4月21日 19時) (レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - さんたさん» ただいまです！！またこれからよろしくお願いします🙇♀️ (2022年4月21日 19時) (レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - かなさん» ただいま戻りました！過去作読み直していただけて嬉しいです☺️またよろしくお願い致します！ (2022年4月21日 19時) (レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぱぐたろう
| 作成日時：2022年4月3日 19時
