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「二人がどんな事情で別れたのか知らないし
婚約まで話が進んでたならちゃんと話す方がいいと思うよ。
でも今は嫌がってるじゃん、
本当に好きならAちゃんの気持ちが落ち着くまで
待ってあげるべきなんじゃないの？」
深澤さんは怒るわけでもなく
淡々と翔太の目を見て優しい口調でなだめる。
そのおかげで翔太は黙り込んで
何とか店内には静けさが戻ったけれど
ちょっとした騒ぎを起こしたこの状況で居座れるわけもなく
鞄を持つと二人の腕を両手で掴んで逃げるように店を出た。
「もう…翔太のせいで恥かいた。」
「それは、ごめん。」
翔太が原因で注目の的になることは幾度となくあった。
それでも離れなかったのは好きだったからで
その愛が枯れ果てた今、ましてや深澤さんまで巻き込んで
私の怒りはピークに達しそうだった。
「…落ち着いたらこっちから会いに行く。」
「え、」
「本当は、話すことなんてないけど
婚約までしてはいさようならは大人げなかったと思う。
それは謝るし話し合いに応じる、
だから翔太もこんな目立つことしないで。」
未来を知っているからこその行動なのだけれど
未来を知る由もない翔太が納得できるわけがない。
深澤さんの言葉で冷静になって
そんな当たり前のことを見失っていることに気が付いた。
「絶対、近いうちに行くから。」
「わかった…」
「その時はちゃんと、全部話してね。」
こんな状況になっても頑なに話してくれない
あの浮気疑惑のこと。
「…わかった。」
「ん、約束ね。
じゃあ今日は帰って。」
翔太もそこまでバカじゃない。
私の言葉の意味が分かったようで苦い顔をしながらも頷くと
スクーターにまたがってこの場を去って行った。
…さあここからが問題だ。
翔太の背中を見送った後、恐る恐る振り返ると
当たり前だけれど深澤さんがいるわけで
せっかくの休日に痴情のもつれに巻き込むなんて大失態だ。
「本当に何から何までごめんなさい、」
「なんか今日、Aちゃん謝ってばっかりだね。」
「だってご飯食べられなかったうえに
行きつけのお店行きずらくしちゃって。」
独身の人生も踏んだり蹴ったりだ、
きっとどんな人生でも私は上手くやっていけないんだろうな。
そう考えたら何だか情けなくなってきて、虚しくなってきて
目頭が熱くなってくるのが分かった。
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山西 陽朔 - 素晴らしい小説ですね!次回作は、南無妙法蓮華経と唱えることで万人が成仏できることを物語にするのはどうでしょうか。 (2023年4月30日 18時) (
レス) id: aaea05e353 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - (名前)さん» ありがとうございます！最後まで楽しんでいただけるよう頑張ります☺️ (2022年4月21日 20時) (レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - ayaさん» お久しぶりです🙇♀️そう言っていただけて嬉しいです、後々明らかになっていくので最後まで御付き合い頂ければ嬉しいです！ (2022年4月21日 19時) (レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - さんたさん» ただいまです！！またこれからよろしくお願いします🙇♀️ (2022年4月21日 19時) (レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - かなさん» ただいま戻りました！過去作読み直していただけて嬉しいです☺️またよろしくお願い致します！ (2022年4月21日 19時) (レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぱぐたろう
| 作成日時：2022年4月3日 19時
