・ ページ24
・
「んで、なんで優香の仕事代わりにしてたの？」
「それ…言わなきゃ駄目ですか？」
出来る事なら言いたくない、
自分が勝手にやったお節介なのだから。
それに事情を素直に打ち明ければ
深澤さんの性格的にあの2人を注意するだろうし
それで目を付けられるなんてことになるのは絶対に避けたい。
「これでもAちゃんの上司だし？
何か問題抱えてるなら、」
「それは絶対ないです！
あ、あれですよ、今月引っ越しやらなんやらで金欠なんです
だから残業代欲しくて優香さんにお願いしただけです。」
無理のある言い訳だけれどこの場を乗り切ることができれば
後は聞かれてものらりくらり交わせばいい。
深澤さんは納得のいかない表情をしているけれど
しばらくすると頭を掻いてソファーの背もたれにもたれかかった。
「じゃあこれ以上聞かないけど
あんまり抱え込まないでね。」
「大丈夫ですから。」
深澤さんが食い下がってくれたおかげで
なんとかこの話を終わらせることができた。
何となく直感で選んだオムライスを注文して
深澤さんの方を見る勇気はなく水を飲みながら外を見ると
見覚えのあり過ぎる黒い物体が目に入って
窓ガラスに向かって口に含んでいた水を吹き出した。
「Aちゃん！？
え、大丈夫？」
「い、いやぁ…」
咳き込みながらも必死に窓をティッシュで拭いている間
どんどん近づいてくる黒い物体はついにガラスに張り付いてきて
私は小さく悲鳴をあげた。
「な、何やってんのよ翔太…！」
「翔太って、Aちゃんの、」
二人であっけにとられながらその姿を見ていると
私に向いていた翔太の視線は深澤さんに移り
慌てた様子で店の入り口へ駆けて行った。
「来るな来るな！」
「やっと会えたんだから来るだろ！」
「私は会いたくなかった。」
「俺は会いたかったしちゃんと話したかったんだよ。」
ただでさえ目立つこいつの服装
それに加え静かな店内に響く翔太の通る声は
他の客の視線をかっさらっていく。
「あの、」
「ああ？！」
何故か切れ気味の翔太に向けて口を開いたのは
私でも様子を見に来た店員でもなく
向かいの席で真剣な表情を浮かべる深澤さんだった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2232人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SnowMan」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
山西 陽朔 - 素晴らしい小説ですね!次回作は、南無妙法蓮華経と唱えることで万人が成仏できることを物語にするのはどうでしょうか。 (2023年4月30日 18時) (
レス) id: aaea05e353 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - (名前)さん» ありがとうございます！最後まで楽しんでいただけるよう頑張ります☺️ (2022年4月21日 20時) (レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - ayaさん» お久しぶりです🙇♀️そう言っていただけて嬉しいです、後々明らかになっていくので最後まで御付き合い頂ければ嬉しいです！ (2022年4月21日 19時) (レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - さんたさん» ただいまです！！またこれからよろしくお願いします🙇♀️ (2022年4月21日 19時) (レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - かなさん» ただいま戻りました！過去作読み直していただけて嬉しいです☺️またよろしくお願い致します！ (2022年4月21日 19時) (レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ぱぐたろう
| 作成日時：2022年4月3日 19時
