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「深澤さんに謝らなきゃ…」




私だけの予定ではないし
ましてや私の歓迎会という名目なわけで
それでも、一応母親だった私は
優香さんを無視することは出来なかった。




「あれ、いない…」



深澤さんのデスクに目を向けると
さっきまでいたはずの彼の姿はない。




スマホを確認してみるとラインの通知が増えていて
大量に溜まっている翔太からのメッセージを無視して
下の欄を見ると深澤さんとのトークルームに
一件の通知が表示されていた。




“なんかお取込み中みたいだったから
 エントランスで待ってるね。
 みんな俺より先に帰るの遠慮しちゃうから、わら”





行けなくなったなんてラインで伝えるのは気が引けるし
一階のエントランスまで行く時間は惜しい。
かといってずっと待たせるのも駄目だし
確かお店を予約してくれていると言っていたはず。




「どうしよ、全然考えてなかった…。」



「Aちゃん?」



「はいっ!」




デスクに両肘をつき頭を抱えていると
また後から声が聞こえて、慌てて立ち上がる。



頭を抱えたまま振り返ると
そこには深澤さんと同期の岩本さんが立っていて
慌ただしい私を見て吹き出した。




「何でそんな慌ててんの、
 この世の終わりみたいに。」




「あ、いや…その…」




手伝ってください何てとても言えない
自分から言い出しといて本当に情けない。
こうなったら深澤さんへの迷惑を最小限にする方向で
何とか考えを振り絞るしかない。




「い、岩本さんこの後予定ありますか!」



「俺?
 いや、ないけど…
 Aちゃんは今日ふっかと、」





「私仕事がやばい具合に溜まってて残業になりそうなんです
 お店予約してくださってるってこの前言ってて
 岩本さん代わりに行ってきてください!」




岩本さんはポカンとした顔でしばらく固まった後
私の背後にあるパソコン画面とデスクの惨状を見て
眉間に皺を寄せ、首を傾げた。




「深澤さんには後日直接謝りますので、
 これお金です、二人分あります!
 お疲れさまでした!」





「え、あ、ちょっと!!」





先輩に対してこの態度はかなりやばいのだけれど
とにかく今の私はテンパっていて
岩本さんに諭吉を何枚か握らせると背中を押した。

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山西 陽朔 - 素晴らしい小説ですね!次回作は、南無妙法蓮華経と唱えることで万人が成仏できることを物語にするのはどうでしょうか。 (2023年4月30日 18時) (レス) id: aaea05e353 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - (名前)さん» ありがとうございます!最後まで楽しんでいただけるよう頑張ります☺️ (2022年4月21日 20時) (レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - ayaさん» お久しぶりです🙇‍♀️そう言っていただけて嬉しいです、後々明らかになっていくので最後まで御付き合い頂ければ嬉しいです! (2022年4月21日 19時) (レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - さんたさん» ただいまです!!またこれからよろしくお願いします🙇‍♀️ (2022年4月21日 19時) (レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - かなさん» ただいま戻りました!過去作読み直していただけて嬉しいです☺️またよろしくお願い致します! (2022年4月21日 19時) (レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぱぐたろう | 作成日時:2022年4月3日 19時

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