序章 後悔 ページ1
＿you side＿
私の伴侶となる男、渡辺翔太は
煩悩の塊である。
緩くパーマのかかった茶色の髪に
太陽とは無縁の生活を送ってきた白い肌。
それに似つかわしくない緑色の法衣を身にまとう姿は
何とも言えないちぐはぐさで
未だに見慣れてはいない。
「今日はお坊さん来るから
失礼のないようにね。」
翔太との出会いもこれまた癖が強い。
短大学生になったばかりの春の日
家の前で満開に花びらを広げる桜の木の下で
黒色の法衣を着て数珠を手に巻き付けた彼が立っていた。
「茶髪？」
「法事とかじゃなくてお祓いだから
坊主にしなくてもいいんじゃない？」
イメージしていた坊主とは180度違う
綺麗なパーマのかかった茶色い髪が風に揺れている。
「じゃあお母さんお茶用意するから
お坊さん、おじいちゃんとこ案内してね。」
「え、ちょっと！」
「ポルターガイスト現象、なくしてもらうんだって。
この家築何年だと思ってんのよ
どうせ原因なんて家の老朽化とネズミの足音だろうに。」
いくらかかったんだと少し切れ気味に言い残して
母は家の中に戻ってしまった。
祖父はかなりの怖がりで
最近聞こえる謎の物音を彼に頼んだようだ。
「こっちです。」
「なんだよな、」
「はい？」
「俺、マジでお化けとか無理なの！
クソ親父がぎっくり腰で代わりに行けって言われたから…
マジ勘弁なんだけど！」
本当にこいつは僧侶なのだろうか。
桜の木の下で頭を抱えて小さくなっている彼に
溜息をつきながら目を合わせるようにしゃがみ込んだ。
「昼間だから、今は出ないと思いますよ
私一緒に居るしさっさと済ませてもらえます？」
とにかく早く済ませないと母の雷が落ちる。
数珠を持っていないほうの手を握り家に引きずり込むと
切羽詰まったような顔をした祖父が彼に抱き着き
絹を裂くような女の悲鳴、ならぬ僧侶の悲鳴が
家中に響き渡った。
「ありがとうございました。
これ、お祓い代です
あとよかったら食べて行ってください。」
何とかお祓いと札の設置が終わって
肩で息をしている彼にお茶と和菓子を差し出せば
子供のようにがっつき出してまた溜息が零れた。
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山西 陽朔 - 素晴らしい小説ですね!次回作は、南無妙法蓮華経と唱えることで万人が成仏できることを物語にするのはどうでしょうか。 (2023年4月30日 18時) (
レス) id: aaea05e353 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - (名前)さん» ありがとうございます！最後まで楽しんでいただけるよう頑張ります☺️ (2022年4月21日 20時) (レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - ayaさん» お久しぶりです🙇♀️そう言っていただけて嬉しいです、後々明らかになっていくので最後まで御付き合い頂ければ嬉しいです！ (2022年4月21日 19時) (レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - さんたさん» ただいまです！！またこれからよろしくお願いします🙇♀️ (2022年4月21日 19時) (レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - かなさん» ただいま戻りました！過去作読み直していただけて嬉しいです☺️またよろしくお願い致します！ (2022年4月21日 19時) (レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぱぐたろう
| 作成日時：2022年4月3日 19時
