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「ちゃんと話し合えよ。」
「はい。」
「お前の事だから
どうせまた自分だけで決めて逃げて来たんだろ。」
図星で何も言えなくなって
唇を噛みしめて目を泳がせていると
岩本さんの笑い声が聞こえて来た。
「いっぱい間違えばいいよ。」
「え？」
「間違ってやり直して
後戻りできなければ新しい道を作ればいい。
逃げて間違った道につき進まなければ
人生ってわりと修正効くから。」
岩本さんの強さは
きっとさっき話してくれた過去が作り出したんだろう。
それだけじゃない、今まで生きてきた道のりが
強くならざる負えない状況にさせてきたんだ。
「…深澤の気持ちは、痛いほどわかるから。」
「岩本さん、」
「だから見てて心配になってお節介焼いたり
過去の自分を見ているようでイライラして
人一倍あたりがきつかったと思う、ごめん。」
「そんな、凄く助かりました。
…やっと答えが分かった気がします。」
岩本さんは優しく微笑んで
私の頭に大きな手のひらをのせると頷いた。
ホテルに戻るために歩く一人の夜道は
街灯もあるし人通りも多いのに
凄く心細くて孤独感を感じる。
自分から離れたのに
つい左手のぬくもりを探している自分がいた。
「わっ、」
ぼーっとしながら歩いていたら
突然目の前に飛び出してきた小さな子供を避けきれず
小さな体を庇うように抱きしめて横に倒れると
膝に鈍い痛みが走った。
「すいません！！」
「大丈夫です…。」
すぐに子供の親が駆け寄ってきて
口では謝りつつも視線はずっと我が子を捉えていた。
大丈夫という言葉に安堵し、もう一度私に頭を下げて謝ると
泣き出しそうになっている子供を父親が抱き上げて
母親は心配そうな表情で寄り添い歩き出した。
「いたっ、」
そんな家族の後姿を見つめていると
再び膝が痛み始めて視線を下ろした。
血が滲んでいて、足を伝って地面へと血が落ちていく
でも私には、あんな風に寄り添ってくれる親はいない。
あの子供が羨ましくて憎くて
段々と視界がぼやけていく。
きっと今の私は
嫉妬が滲み出て醜い顔をしているだろう。
あんな小さな子に、理不尽に嫉妬心を抱いて
結局私は何も成長していなかった。
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きらり(プロフ) - はじめまして。最初から全部読まさせていただきました…主人公よりはまだいい家庭で育っているはずなのに自分を重ねてしまい、最後は少し泣いてしまいました…笑 自分語り失礼しました…素敵なお話ありがとうございました!完結、お疲れ様でしたm(_ _)m (2021年9月19日 18時) (
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作者名：ぱぐたろう
| 作成日時：2021年8月25日 19時
