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「もう暗いし、送っていこうか？」
「大丈夫です、
すぐそこのホテルなので。」
「結構本格的な家出だね。」
「家出って…」
すっかり日も落ちて
街灯の明かりがともり、少し肌寒くなった。
ラウールさんは私をじっと見つめると
空に視線を移して口を開いた。
「深澤さんってさ、」
「なんですか？」
「子供嫌い？」
突然の質問に
飛び出すんじゃないかと思うぐらい心臓が跳ね上がった。
背中を冷や汗が伝って、うまく息ができなくて
ラウールさんから目が離せなかった。
「公園に子供たちが着た時に、
なんか…すごく目が泳いでたから。」
「それは、」
「凄く泣きそうだったから、
…今にも消えちゃいそうだったから。」
そこからの記憶はない、
ラウールさんが何かを言っているのはわかっていたけれど
その言葉が耳に届かないほどに思考が停止して
ただ立っているだけで精いっぱいだった。
「＿＿＿さん、深澤さん！」
「あ、ごめんなさい…
私ホテルに戻りますね。」
「ちょっと待って！」
申し訳ないと思いつつ
動き出した足を止めることは出来なくて
後ろを振り返ることなく走り出した。
「おいっ、」
「うわっ！」
ラウールさんを振り切ったかと思えば急に右腕を引かれて
倒れそうになったところを誰かが抱き留めてくれた。
固く瞑っていた目を開けると猛スピードの車が横切って
あのまま走っていたら轢かれる所だった。
「お前信号ちゃんと見ろよ！」
「岩本さん、」
「あれに轢かれてたら確実に怪我どころじゃなかったぞ！？
…ってなんで泣いてんだよ。」
抱き留めてくれたのは岩本さんで
私は赤信号に気づかず横断歩道を渡ろうとしていたようだった。
ゆっくりと体が離れた時、堪えていた涙が溢れ出て
岩本さんが慌てている様子がぼやけて見える。
言葉が出なくて言い訳すらできず、ただ時間が過ぎていく中
右手が温もりに包まれた。
「とりあえず、ここじゃ思い切り泣けないだろ。」
岩本さんは私の右手を掴んで、私の歩幅に合わせ歩きはじめる。
彼に助けられたのはこれで何度目だろうか
どうしてこうも、私が辛い時に
目の前に現れてくれるのだろうか。
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きらり(プロフ) - はじめまして。最初から全部読まさせていただきました…主人公よりはまだいい家庭で育っているはずなのに自分を重ねてしまい、最後は少し泣いてしまいました…笑 自分語り失礼しました…素敵なお話ありがとうございました!完結、お疲れ様でしたm(_ _)m (2021年9月19日 18時) (
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作者名：ぱぐたろう
| 作成日時：2021年8月25日 19時
