最終章 毒抜き ページ32
＿Watanabe side＿
「…は？」
「心当たりは全部探したけど、」
「え、なんで！？」
「俺が聞きてえよ…
ふっかなら何か知ってるかなって。」
ダイニングテーブルに置かれた一枚の紙。
そこに書かれていた文字は、とても理解しがたいことで
頭が真っ白になりその場から動けなくなった。
でもしばらくして我に返り
Aちゃんが行きそうな所や思い出の場所
手当たり次第探し続けたけれど姿は見えなくて
最後の望みでふっかの家を訪れた。
「ここにはいないけど、
連絡もつかないの？」
「電源切ってるみたい。」
俺は何か嫌われるようなことをしてしまっただろうか、
不器用なりに思いは伝えてきたつもりだし
Aちゃんの笑顔も増えていたはず。
俺の思いが重かったのか
あの笑顔は無理をさせていたのだろうか
そんな考えがぐるぐると回って
玄関先でしゃがみこんでしまった。
「どうしたの？」
一向にリビングへ来ない俺達を心配して
ふっかの奥さんが顔を覗かせた。
どう伝えればいいかとふっかが言葉を濁す中
俺は立ち上がって笑顔を見せた。
「ちょっと仕事の事で
電話だとあれだから家に寄らせてもらったんだよ。
すぐ帰るから、ごめんね。」
「そっか！
邪魔してごめんね。」
「全然、もう少しで終わるから。」
俺の並べた嘘に何とか納得してくれて
再びリビングへ戻ったのを確認し、溜息をついた。
「なべ？」
「安定期入ったとはいえ
変に不安にさせて体に障ったらまずいだろ。
きっと本当の事話してたら
あのまま家飛び出して探しに行ってただろうし。」
「そっか…ありがとう。」
「俺まだ探してみるから
ふっかからも連絡してみてほしい。」
俺も探すと言って、鍵を掴んだふっかを止めて
足早にマンションを後にして走り出した。
ちゃんと話し合いたい、
その結果がたとえ別れだったとしても
このまま会えずに終わるのは嫌だ。
Aちゃんの事を何でも知ったつもりでいたけど
本当は何もわかっていなかったのかもしれない。
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きらり(プロフ) - はじめまして。最初から全部読まさせていただきました…主人公よりはまだいい家庭で育っているはずなのに自分を重ねてしまい、最後は少し泣いてしまいました…笑 自分語り失礼しました…素敵なお話ありがとうございました!完結、お疲れ様でしたm(_ _)m (2021年9月19日 18時) (
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作者名：ぱぐたろう
| 作成日時：2021年8月25日 19時
