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「せっかく実ったのに
なんだか表情が浮かないね。」
「あー、うん。」
引っかかっている何かはだんだん大きくなっていって
涼太の問いかけに生返事を返してしまう。
自分でも何かわかっていないこのモヤを
人に説明できるわけもなく溜まっていくばかりだ。
「付き合ってみたらちょっと違った？」
「いや、それは絶対ない。」
「嫌いになったわけじゃないんだ。」
「当たり前。」
好きなはずなのに
会うのを躊躇している自分がいる。
恐らくAちゃんにもその気持ちは伝わっていて
悲しい気持ちにさせていることはわかっている。
それでもやっぱりモヤが晴れることはなくて
時間だけが緩やかに過ぎていく。
「どういう時に違和感を感じるの？」
「どういう事？」
「例えばデートしてる時にモヤモヤするとか。」
「うーん…
それもよくわかんないんだよ。
気づいたらモヤが広がる感じ。」
沢山のアドバイスをしてくれた涼太も
今回の俺の悩みにはお手上げのようで
洗い終わった皿を拭きながら溜息をついた。
「渡辺さん、」
「ごめん、遅れたっ！」
毎日こんなことを考えてしまって
デートの時間に遅れることが多くなった。
そのたびに頭を下げて謝ると
Aちゃんは咎めることもなく笑顔を見せる。
「今来たところなので大丈夫です。」
Aちゃんの性格からして遅刻するなんてありえないし
額に浮かぶ汗からも、長時間待たせてしまったのは目に見えている。
そんな姿を見て、あの得体のしれないモヤが現れる。
会えて嬉しいし愛おしい気持ちももちろんある
それなのにやっぱりモヤは出てくる。
「どこ行こうか、」
「渡辺さんはどこへ行きたいですか？」
「うーん…服とか見に行きたいかな。」
「じゃあショッピングモールでも行きましょうか！
私もお洋服見たかったですし。」
なんて言うからショッピングモールに来てみると
Aちゃんは自分の服を見る様子もなく
俺が買うものを手にレジへ向かうと財布を出そうとする。
「自分で払うから、」
「…そっか、」
断ると表情を曇らせるAちゃんの姿に
またモヤが大きくなっていくのが分かった。
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きらり(プロフ) - はじめまして。最初から全部読まさせていただきました…主人公よりはまだいい家庭で育っているはずなのに自分を重ねてしまい、最後は少し泣いてしまいました…笑 自分語り失礼しました…素敵なお話ありがとうございました!完結、お疲れ様でしたm(_ _)m (2021年9月19日 18時) (
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作者名：ぱぐたろう
| 作成日時：2021年8月25日 19時
