第七章 距離感と関係性 ページ12
＿Watanabe side＿
「…なんか複雑なんだけど。」
「その、ごめん？」
目を閉じて眉をひそめるふっかに
なんだか申し訳なくなって肩をすぼめる。
自分の気持ちに素直になった結果
めでたくAちゃんと付き合うことになったけれど
俺達二人には問題が山積みだ。
「俺…なべに義兄さんって呼ばれんの？」
「それはキモいからパス。」
「キモいってなんだよ！
俺一応あいつの兄貴なんですけど？！」
妹の事で切羽詰まって相談した同僚が
まさかその妹と交際することになるなんて。
最初から狙っていたわけではないけれど
弱みに付け込んだようで罪悪感が残る。
「まあいいけどさ、」
「ふっか、」
「お前がいいやつだってことは
俺がよく知ってるから。」
さらっと嬉しいことを言って
Aちゃんが作ったであろう弁当を頬張るふっかに
何だか目頭が熱くなって顔を上げた。
「Aも前に進んでってるし
今度は安心して任せられる相手に巡り合えたわけだし
俺もそろそろ動きますか。」
「え？」
「10年付き合って同棲すらしてないとか
飼い殺しだって思われても仕方ねえだろ？
優しいから、全部受け入れてくれてるけどさ。」
「…そっか、」
全てがいい方向へ進んでいっている
でもその道中には、さっきも言ったけれど
問題が山ほど散らばっていて
かなりの長期戦になりそうだ。
「…しばらくは一緒に暮らしてあげて欲しい。」
「そりゃあわかってるよ、いくら信頼してる相手でも
こんなすぐに同棲認めるほど呑気じゃねえよ。」
「あはは…だよな。」
本当は四六時中一緒に居たい。
人と生活するなんて無理だと思っていたけれど
ほっておけないというか、危なっかしいところがあって
守ってあげなきゃという気持ちが強くなった。
「なんか、引っかかるんだよな。」
「ん？」
「いや、なんでもない。」
でも、何かが心の中で引っかかっていて
中々一緒に暮らそうとは言えなかった。
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きらり(プロフ) - はじめまして。最初から全部読まさせていただきました…主人公よりはまだいい家庭で育っているはずなのに自分を重ねてしまい、最後は少し泣いてしまいました…笑 自分語り失礼しました…素敵なお話ありがとうございました!完結、お疲れ様でしたm(_ _)m (2021年9月19日 18時) (
レス) id: 40fc5d5440 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぱぐたろう
| 作成日時：2021年8月25日 19時
