28 ページ28
・
「ごめん、俺つい夢中に…
女の子とか慣れてなくて流されて…」
「佐久間は悪くないじゃん、
…お祭り楽しい？」
「すっごい！
Aちゃんに似てるからこれ欲しくて
獲れてよかった〜、これどうぞ！」
白くて目が大きなウサギのぬいぐるみは
何処が私に似ているのかは分からなかったけど
初めてもらったプレゼントがすごく嬉しくて
ギュッと抱きしめると隣から笑い声が聞こえた。
「…で、Aちゃんの顔が晴れない理由
聞いてもいいかな？」
「えっ、」
本当に心の底から楽しんでいたし
顔色だって悪くないはずだったのに
佐久間は私の悩みを見透かしているように
私を見つめて優しく微笑んだ。
「…この後時間ある、かな？」
「大丈夫だけど…」
「手紙を、一緒に読んでほしくて。」
主語もなくそう言う私に驚いた表情を見せたけど
すぐに笑顔に戻って何度も頷いてくれた。
屋台を一通り回って楽しんだ後
浴衣を返却し解散した。
余韻に浸りながらも佐久間を家に招き入れ
先に部屋に通すと分厚い封筒を持ち二階へ上がろうとした。
「A、大丈夫？」
「良かったら涼太も、一緒に…」
「うん、勿論だよ。」
仕事終わりの涼太を連れて部屋に入ると
また驚いた顔をした佐久間に苦笑いを浮かべると
三人並んでベッドを背もたれにフローリングを座った。
「あのね、私が義足になった理由…なんだけど」
「確か事故だよね？」
「うん…事故というか
ビルから飛び降りた男の子の下敷きになったの。」
今まで義足のこと以上に逃げてきた過去、
口にするだけで記憶が蘇ってきて
あっという間に過ぎていった一年間に目が回りそうになる。
佐久間は口を大きく開け唖然としていて
私が言い放った言葉が理解できていないようだった。
「その子は私がクッションになったみたいで助かって
私は打ち所が悪かったというか
運悪く足が使い物にならなくなった。」
「そう、なんだ…」
「泳げなくなったのも足を失ったのも
凄く辛くて悲しかったけど
でもその子の命が助かったって聞いた時
それが吹っ飛ぶほどに嬉しかった。」
今思えばお人好し過ぎると思うけど
自分は足を失ってその子も死んでしまったとなれば
きっと私は立ち直れなかっただろう。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 659人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SnowMan」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ぱぐたろう(プロフ) - ぴくみんさん» 読んでいただきありがとうございました！！書くこと自体迷っていたお話だったのですが、書いてよかったです。次も楽しんでいただけるよう頑張ります！ (2021年8月15日 22時) (
レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - ゆりあさん» ありがとうございました！凄く迷いながら時間をかけて書いたお話なので、そう言っていただけて凄く嬉しいです。 (2021年8月15日 22時) (レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - こころさん» 読んでいただきありがとうございました！そう言っていただけて凄く嬉しいです！ (2021年8月15日 22時) (レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - ぐりーんかれーさん» ありがとうございます！楽しんでいただけて凄く嬉しいです。次回も頑張りますのでよろしくお願いします！ (2021年8月15日 22時) (レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - 名前さん» ありがとうございました！受け取りての方によって違う感じ方を楽しんでいただければと思い書いてみました。次のお話も頑張ります！ (2021年8月15日 22時) (レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ぱぐたろう
| 作成日時：2021年8月10日 19時
