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「へ?」



「っ、佐久間くんちょっといい?」



キョトンとするAちゃんと
少し怒ったような表情を浮かべ振り返る深澤さん。



俺は見逃さなかった
キラキラした目で子供たちを見ていたこと
プールの事を聞こうとした時
心なしか表情が明るく見えたとこ




「…あるよ、すっごくおっきいやつ
 人口波もあるの
 いろんなプールがあるから混み合うことは少ないよ。」



「そうなんだ!
 俺ウォータースライダー滑った事ないんだよね〜」



穏やかな表情で教えてくれるAちゃんに
深澤さんは驚いた顔をしていたけど
しばらくして厨房へと行ってしまった。


出過ぎたことをしてしまっただろうか
そう思っていると
Aちゃんは俺のお皿に人参をよけてきた。



「なんで!」



「人参嫌いなの。」



「おこちゃま…」



「うるさい。」



Aちゃんの口角は上がったままで
楽しそうに人参だけを俺のお皿に移してくる。



「ありがとう。」



「んえ、何が?」



「…嫌だったの、腫れもの扱いされるの
 泳げなくったって水泳が好きなことに変わりないから。」



きっとAちゃんが死にたいと思う理由は
これだけではないと思う。
彼女の気持ちを全て知ることは出来ないし
たった一つ心のしこりを取り除いたところで
その意思を変えることは出来ないだろう。


それでも俺にできることは
原因となるものを少しずつなくしていくことだけだ。



「一緒に行こうよ、プール!
 俺支えるしさ!」



「それは…嫌だ。」



「…そっか!
 って人参入れ過ぎじゃない!?
 カレーのルー見えなくなってるよ?!」



流石に踏み込み過ぎてしまった、
慌てて話を変えるとAちゃんは困ったように微笑んだ。



ドストレートに言ってしまう俺には
この線引きがすごく難しくて
カレーを頬張るAちゃんを見つめることしかできない。

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ぱぐたろう(プロフ) - ぴくみんさん» 読んでいただきありがとうございました!!書くこと自体迷っていたお話だったのですが、書いてよかったです。次も楽しんでいただけるよう頑張ります! (2021年8月15日 22時) (レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - ゆりあさん» ありがとうございました!凄く迷いながら時間をかけて書いたお話なので、そう言っていただけて凄く嬉しいです。 (2021年8月15日 22時) (レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - こころさん» 読んでいただきありがとうございました!そう言っていただけて凄く嬉しいです! (2021年8月15日 22時) (レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - ぐりーんかれーさん» ありがとうございます!楽しんでいただけて凄く嬉しいです。次回も頑張りますのでよろしくお願いします! (2021年8月15日 22時) (レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - 名前さん» ありがとうございました!受け取りての方によって違う感じ方を楽しんでいただければと思い書いてみました。次のお話も頑張ります! (2021年8月15日 22時) (レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぱぐたろう | 作成日時:2021年8月10日 19時

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