8 ページ8
・
「まさか翔太が起業するなんてね！」
「生意気なおっさんに使われるの向いてなかったわ。」
「そんな理由で会社立ち上げて成功するんだもん
先生に怒られてもサンダル履き続けたり
謎のこだわりの強さが吉に出たのかな？」
「…佐久間それ褒めてる？」
昔から人に指図されるのが心底嫌いだった翔太、
そんな幼馴染が起業したのは知っていたけど
まさか軌道に乗り始めたからと
俺を引き抜きに来たのには驚いた。
「まあ今日は歓迎会だし沢山飲めよ、
ただ酒ほどうまいもんはねえんだから。」
「あざっす！」
翔太が社長だなんて未だにピンとこなかったけど
社内で的確に部下たちへの指示をこなす姿を見て
もう泣き虫だったあの頃の翔太はいないんだと感慨深くなった。
「新しい家はどうよ？」
「新しいって言っても
元はじいちゃんの家だし懐かしくて落ち着くよ、
縁側の良さに今頃気づいた。」
「また遊びに行かせてよ
俺も久々に縁側でスイカでも食べてぇ！」
「多分母さんも喜ぶし近々来いよ！
アパート決まったら俺あの家出るし
その前にさ。」
なんて他愛のない話も束の間
酔いが回り気分が良くなった成人男性二人が行きつく先は
くだらない色恋沙汰の話だった。
もう何回も聞いた浮気女の話を聞き流しながら
ジョッキに残ったビールを流し込むと
何故か思い浮かぶのはAちゃんの睨み顔だった。
「もう女なんて信用ならねえ！！
…って佐久間聞いてる？！」
「お酒弱いのに何でそんなに飲むかな…
ほら翔太、社長らしく締めの言葉言って終わらせよう。」
「なんかはぐらかされた気がする…
まあいいや、かいさーん！！」
翔太は不服そうに唇を尖らせたかと思えば
溶けるんじゃないかというぐらい顔を緩ませて
ヘラヘラと笑いながら飲み会を終わらせた。
夜だというのに外は蒸し暑くて
汗でワイシャツが背中に引っ付く不快感に耐えながら
一人で立てないほどに飲み潰れた翔太を抱える。
「女なんて…女なんて…」
「はいはい、そんな浮気女基準に考えんなよ
世の中一途な女の子だっているから。」
翔太を片手に扉を開けて家の中に放り込むと
ポストの中に鍵を入れて家路についた。
家の前について左隣を見上げると
Aちゃんの部屋の電気がついていて
謎の安心感が溜息をつかせた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 658人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SnowMan」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ぱぐたろう(プロフ) - ぴくみんさん» 読んでいただきありがとうございました！！書くこと自体迷っていたお話だったのですが、書いてよかったです。次も楽しんでいただけるよう頑張ります！ (2021年8月15日 22時) (
レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - ゆりあさん» ありがとうございました！凄く迷いながら時間をかけて書いたお話なので、そう言っていただけて凄く嬉しいです。 (2021年8月15日 22時) (レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - こころさん» 読んでいただきありがとうございました！そう言っていただけて凄く嬉しいです！ (2021年8月15日 22時) (レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - ぐりーんかれーさん» ありがとうございます！楽しんでいただけて凄く嬉しいです。次回も頑張りますのでよろしくお願いします！ (2021年8月15日 22時) (レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - 名前さん» ありがとうございました！受け取りての方によって違う感じ方を楽しんでいただければと思い書いてみました。次のお話も頑張ります！ (2021年8月15日 22時) (レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ぱぐたろう
| 作成日時：2021年8月10日 19時
