30 ページ30
・
「こんにちは！」
「…何だよ、」
「本好きなの？
あ、私もその作家さん好き！」
せっかく助かった命を大事にしてほしい。
看護師さんからこっそり聞いた話では
北斗くんは精神疾患を患っているらしく
本やネットで関わり方を調べてから病室を訪れた。
「…嫌味言いに来たのかよ、
自分は足失って水泳できなくなったのに
その原因作った奴は呑気に本読んでるって。」
「え、私が水泳やってるの知ってるの？
嬉しい！
まあこう見えてここらへんじゃ有名人だからね。」
「ポジティブかよ…
俺お前みたいに頭空っぽな人間嫌いなんだよ。」
「失礼な、これでも色々考えてるよ？
例えばどうすれば北斗くんと仲良くなれるかとか…」
そう言いかけた時、本を投げつけられて
拾おうとするとバランスを崩して車椅子から落ちてしまった。
打ち所が悪く痛さに悶えていると
北斗はベッドから起き上がり私に駆け寄ってきた。
「な、ナースコール…っ」
「ナースコール…っ！」
すぐに看護師さんは駆けつけてくれて
傷口にも異常なかったけど、父は激怒して
二度と会うなと釘を刺されてしまった。
「何でお前…」
「へへ、来ちゃった。」
それでも私は、急いで看護師さんを読んでくれた北斗くんが
悪い人だとはとても思えなくて
面会時間の過ぎた時間にこっそり病室を訪ねると
北斗くんは泣きそうになりながら目を大きく開いた。
「ごめんね、馴れ馴れしくしちゃって
嫌だったよね…反省してる。」
「…、」
「謝りに来ただけだから、じゃあね？」
私が思っている以上に、精神疾患というものは難解で
安易に足を踏み入れることは、彼を傷つけることになる
だからもうこんなことはしないでおこうと扉に手をかけると
背後から抱きしめられた。
「ごめん…なさいっ、」
「北斗くん？」
「俺、自分でも何でこんなことするのかわからなくて
俺だけ無事に生き残ってごめんっ、
ごめんなさい、ごめん…っ！」
自分の足を奪った相手、
それなのに彼を受け止める私は
きっといい笑いものだと思うし、理解もされないだろう。
でも私は、
彼に生きて欲しいと願ってしまったんだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 658人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SnowMan」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ぱぐたろう(プロフ) - ぴくみんさん» 読んでいただきありがとうございました！！書くこと自体迷っていたお話だったのですが、書いてよかったです。次も楽しんでいただけるよう頑張ります！ (2021年8月15日 22時) (
レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - ゆりあさん» ありがとうございました！凄く迷いながら時間をかけて書いたお話なので、そう言っていただけて凄く嬉しいです。 (2021年8月15日 22時) (レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - こころさん» 読んでいただきありがとうございました！そう言っていただけて凄く嬉しいです！ (2021年8月15日 22時) (レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - ぐりーんかれーさん» ありがとうございます！楽しんでいただけて凄く嬉しいです。次回も頑張りますのでよろしくお願いします！ (2021年8月15日 22時) (レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - 名前さん» ありがとうございました！受け取りての方によって違う感じ方を楽しんでいただければと思い書いてみました。次のお話も頑張ります！ (2021年8月15日 22時) (レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ぱぐたろう
| 作成日時：2021年8月10日 19時
