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頭の中から彼女が離れなくなって
夜は新しい環境というのも相まって眠れなかった。
転職先の社長兼親友が今日は休みにしてくれていて
体は自然と左隣の宮舘さん宅へ向かって行った。



「は?」



「Aちゃんおはよ!」



インターホンを押そうとしたタイミングで
玄関の扉が開きAちゃんが出てきた。



俺の姿を見るなり凄く嫌そうな顔をした後
着々と車椅子の準備をしてブレーキを外す彼女を見て
急いで後ろに回り込み手押しハンドルを握った。



「昨日はごめんね!」



「申し訳なく思ってるなら声かけんな
 馴れ馴れしい、離して。」



「いいじゃん!
 お隣さんのよしみでさ、
 ここら辺わかんないから案内してよ!」



「絶対嫌だから!」



睨みをきかせているのだろうけど
車椅子に座っているから自然と上目遣いになって
怖いどころか愛らしく感じた。



「お願い!!
 お礼に何でも奢るし、ね?」



「でも、」



「これは邪魔に入んないでしょ?」



「…勝手にどうぞ。」



埒が明かないと思ったのか
ついにAちゃんは折れてくれて
大きくガッツポーズをして喜んでいると
顔を赤くしながら辺りを見渡した。



「恥ずかしいでしょ!」



「ごめんごめん、
 じゃあ出発しよ!」



「あ、まって。」



車椅子を押すとAちゃんにとめられて
急停止すると彼女の体が前のめりに浮いた。
慌てて後ろから抱きしめるように支えると
何とか転倒するのを防ぐことができた。



「ごめんっ!」



「…動く時と止まる時は言って欲しい、
 今みたいになるしびっくりするから。」



「わかった、ごめんね…」



「いいよ、別に
 車椅子なんて触る機会ないだろうし。」



少し困り顔でそう呟くと
俺の腕を解いて車椅子に座りなおした。
初めて車椅子を触るとはいえ
危ない目に遭わせてしまったと落ち込んでいると
Aちゃんは小さく吹き出し初めて笑顔を見せてくれた。

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ぱぐたろう(プロフ) - ぴくみんさん» 読んでいただきありがとうございました!!書くこと自体迷っていたお話だったのですが、書いてよかったです。次も楽しんでいただけるよう頑張ります! (2021年8月15日 22時) (レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - ゆりあさん» ありがとうございました!凄く迷いながら時間をかけて書いたお話なので、そう言っていただけて凄く嬉しいです。 (2021年8月15日 22時) (レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - こころさん» 読んでいただきありがとうございました!そう言っていただけて凄く嬉しいです! (2021年8月15日 22時) (レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - ぐりーんかれーさん» ありがとうございます!楽しんでいただけて凄く嬉しいです。次回も頑張りますのでよろしくお願いします! (2021年8月15日 22時) (レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - 名前さん» ありがとうございました!受け取りての方によって違う感じ方を楽しんでいただければと思い書いてみました。次のお話も頑張ります! (2021年8月15日 22時) (レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぱぐたろう | 作成日時:2021年8月10日 19時

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