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「…なに?」



「お、おかえり…なさい。」



早いもので三日が経ち
辰哉が帰ってくると思うと家に帰る足取りが重い。
きっと向こうも同じ気持ちだろうし
定時には返ってこないだろうと玄関を開けると
久々に見た私服姿の辰哉が出迎えに来た。



「あの、その…。」



「早く要件言ってくれない?
 これから依頼された仕事しなきゃいけないの。」



「ご、ご飯作ったから
 一緒に食べないかな…と。」



きっと照くんに何か吹き込まれたんだろう。
前の私だったらきっと喜んでいた
でも今は冷静に向かい合って食事を取れる自信がない。
正直今こうして面と向かって話すことも無理で
目を合わせることも脳が拒否反応を出している。



「無理、いらない。」



「いやでも…」



「私が作ったものは食べないのに
 自分が作ったものは食べろなんて言う権利あると思ってんの?」



今にも泣きだしそうな顔ですら苛立ってきて
横を素通りし書斎に入ると溜息が出た。


「ベッド買おうかな…。」



最低でも一か月はここで寝るわけで
元々腰が悪い私にとって敷布団は地獄だ。
仕事を始める前にネット通販でベッドを探していると
玄関の扉が閉まる音がして、部屋から顔を出すと
リビングの電気は消えていた。



「私前世でどんな大罪おかしたんだよ…。」



はっきり言って地獄だ、
かと言ってまだ離婚だけは避けたいし
早く辰哉から別居を申し込んでこないかと願ってしまう。



「もしくは私が何処かへ旅立ちたい…。」



いっそのこと旅行にでも行こうか、
フリーランスだし基本は在宅だから
パソコンと仕事道具があれば
旅先のホテルや旅館なんかでも仕事はできる。



そんなことを考えてしまうぐらいに
辰哉と一緒の空間は耐え切れないものだ。



「人ってこんな一瞬で無理になるんだな…。」



恋愛において男性と女性は脳の出来が違うらしい。
女性には生理的に無理というゾーンがあって
そこに入ってしまった対象者は二度とそこから抜け出せないらしい。


つまり私と辰哉は修復不可能なわけで
再構築なんてできるはずがない。



「あと一か月…か。」



五年という結婚生活が
辰哉の欲で一瞬にして泡のように消えていく。
だからこそ許せないし
こんなにも拒絶してしまう。




「浮気はしないって約束したのに。」





そう呟いたって
辰哉がその約束より欲を取ってしまったのだから
私がどうこうできるものではない。

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aggy(プロフ) - はじめまして!ぱぐたろうさんのお話を読ませて頂き、めっちゃハマって過去作品読ませてもらってました!めちゃくちゃ面白いです!個人的に何故かしょっぴーとのやり取りがツボでした。続編とほかの作品も読ませて頂きますね(^^) (2022年5月1日 18時) (レス) @page43 id: b193afbce1 (このIDを非表示/違反報告)
綾音(プロフ) - はじめまして!電車の中で読んでしまって、苦しくて危うく大号泣してしまうところでした(笑)続編もしっかり読みます!! (2021年7月16日 15時) (レス) id: e120810d5e (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - ふさん» 頑張りますのでよろしくお願いします! (2021年7月3日 21時) (レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - ひなこさん» ありがとうございます!とても嬉しいです! (2021年7月3日 21時) (レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - 美桜さん» ありがとう!ええ!そんな夢を笑 (2021年7月3日 21時) (レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぱぐたろう | 作成日時:2021年6月28日 18時

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