第二章 再会 ページ11
＿you side＿
「ま、間に合った。」
「道…覚えられなかった…。」
止まることなく走り続け
必死についていくといつの間にか学校に到着していた。
そのおかげで道なんか覚え切れず
明日からどうしたものかと頭を悩ませた。
「それなら任せて、
ちゃんと、明日からも時間に余裕もって、
駅まで迎えに行く、から…！！」
ラウちゃんが息を切らしながら途切れ途切れにそう言うと
安堵からかため息が出た。
呼吸も落ち着いてきていざ教室へ向かおうとするけど
なんだか周りから視線を感じる。
「…なんか目立っちゃったね！
ごめんね！」
「本当だよ！
しかも病み上がりなのに…本当にごめん！
早く教室行こう！」
周りからの視線に戸惑う私を見て
結ちゃんが何かを誤魔化すように私の右側に立つと
ラウちゃんも続くように左側に立ちながら教室へと促した。
まるで私から周りを遠ざけるように。
「あ！こーじおはよう！！」
「もー！向井先生やろ！
何回言うたらわかんねん…。」
二人組の先生らしき人達に結ちゃんが声をかける。
東京ではかなり目立つ関西弁で呼び方を訂正すると
どんどん私たちの方へ向かってくる。
「あんな人いたっけ？」
「三年生の方の教員じゃない？
別館だから存在知らずに卒業なんてざらだし…
向井先生隣の人だれー？」
二人ですら知らない、もう一人の男の人。
結ちゃんが誰かと聞くと同時に
二人は私たちの目の前で立ち止まった。
「うそ…。」
「Aちゃん…？」
冷や汗が背中を伝い、その場から動くことが出来ない。
ラウちゃんが気づいたのか声をかけてくれているけど
今はそれどころではない。
「三年生の物理学担当してる阿部亮平先生。
俺の同期やねん！」
「…阿部です。」
見間違いだと願いたかった。
10年経ったとはいえ、昔の面影は残ったままで、
私が佐倉Aだって、絶対バレるはずないのに
震えが止まらなくて、血の気が引いていくのを感じる。
「宮舘さんこれからいろいろ大変やろうし
俺だけじゃカバーできひんこともあるやろうから
色々フォローしてもらえることになってん！」
神様は意地悪だ。
他人になりたいと望んだ亮平が今
私のなりたかった職に就いて、目の前にいるなんて
今私は、嫌われていた前世の尻拭いでもさせられているのだろうか。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1312人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SnowMan」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
まいちゅん(プロフ) - ぱぐたろうさんの世界観が好きです。 (2021年1月25日 0時) (
レス) id: 3613c412bc (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - ユウさん» ありがとうございます！うれしいです、励みになります。今日からまた更新しますので是非見てください(^▽^) (2021年1月21日 19時) (レス) id: 182e74d2ca (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - りささん» こちらこそ読んでいただきありがとうございます！そう言っていただけるとすごくうれしいです！りささんもお体ご自愛下さい、更新頑張ります(^^) (2021年1月21日 19時) (レス) id: 182e74d2ca (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - Roseさん» ありがとうございます、励みになります！Roseさんもお体お気をつけてください!(^^)! (2021年1月21日 18時) (レス) id: 182e74d2ca (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - しおさん» ありがとうございます！本日更新しますので是非見てください(^^)無事に楽しめました！ (2021年1月21日 18時) (レス) id: 182e74d2ca (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ぱぐたろう
| 作成日時：2021年1月13日 20時
