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「あれ、来てくれたんだ！」
「お前、遺書渡してねえだろ。」
「え！？
あ…忘れてた！！」
朝一でAの家を訪れると
あれだけ散らかっていた家の中は綺麗になっていて
段ボールが大量に積み上げられてた。
「まだ役目終わってなかった…
正人さんに怒られちゃう。」
「やっぱお前抜けてんのな。」
「酷い！」
少し派手だった化粧はほぼすっぴん、
全然似合っていなかったブランドものの服から
シンプルなワンピース姿へと変わったAは綺麗で
思わず抱きしめると笑われてしまった。
「何であんな変な格好してたの？」
「できるだけお金目当てっぽい服装で近づいてって
正人さんから言われてたから。」
「俺ってとことん騙されてんのな。」
「嘘ついてないのは照くんだけだったね。」
これだけ周りの人間に嘘をつかれて
よくここまで生きて来たなと自分でも思う。
抱きしめた体を離すと部屋の窓から外を眺めて
また降り出してきた雨の音に耳を澄ませた。
「もう嘘ついてないよな？」
「昨日言ったことが全部！
もう嘘はこりごり
ああいう修羅場とか本当に勘弁してほしいわ。」
「…悪いな、こんなゴタゴタニ巻き込んで。」
いくらAがふっかの父親を恨んでいたとしても
あくまで俺らの問題なのに
こんなにも彼女を巻き込んでしまった。
「いいよ、
なかなかこんな経験できないし。」
「楽しんでる？」
「あはは、バレたか。」
そんな話をしていると引越しのトラックが来て
荷物を積み込む作業員とAを眺めながら
遺書の封を切って中身を読み始めた。
“馬鹿なお前たちへ”
「吹っ切れてんじゃん…。」
あの優しかった祖父はどこへやら
辛辣な言葉で埋め尽くされた内容は
本当に遺書なのかと疑いたくなるほどだ。
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ぴくみん(プロフ) - ぱぐたろさんの作品の一つ一つ伏線を回収していくお話が本当に好きで、今回もワクワクしながら読んでいたらあっという間にエンディングでした！今回の作品もとても面白かったです…いわふかの関係性が最高でした。 (2021年6月28日 3時) (
レス) id: 3b567ca5ed (このIDを非表示/違反報告)
みー - 他にはないジャンル？のお話で、一気読みしました！すごくおもしろかったです！ (2021年6月27日 23時) (レス) id: 978894b8a4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぱぐたろう
| 作成日時：2021年6月27日 20時
