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「散らかってるけどどうぞ〜。」
「ホントに散らかってんのな。」
「ちょっと！
少しはオブラートに包んでよ。」
Aの家は祖父の家からそう遠くはなくて
少し古びたアパートの二階にある部屋に入ると
布やら糸が床に散らばっているところを覗けば
いたって普通の１LDKだった。
「どうぞ、いくらでも探していいよ。
クローゼットもタンスの中も
あとこれ通帳ね。」
手渡された二つの通帳を遠慮がちに開くと
そこそこ入ってはいたけど一億円とは程遠い。
でもあの沢山身にまとっているブランドに化けた可能性もあるし
疑惑は晴れないまま胸がどんどん痛くなる。
「どうだった？」
「…とくには。」
結局家の中をくまなく探したけど
金も指輪も出てこなくて
鞄の中やズボンのポケットまで確認しても手掛かりはなかった。
「まだ疑ってるんだ。」
「…いや、その。」
「別に信じろとは言わないよ？
私が照くんの立場だったら
絶対疑うし白状するまで問い詰める。」
へらっと笑うAは堂々としていて
やっぱり無関係なのかと思ってしまう。
いや、そう思いたかった。
すべてを打ち明けたあの日から
怪しいとわかっていても信じたいと思ってしまう自分がいた。
「いつ遺言書渡してくれんの？」
「時が来たら。」
「だからそれがいつか聞いてんの。」
「照くんが正人さんの嘘を見破ったら。」
もう人間不信になってしまいそうだ。
信頼していた祖父の秘密がどんどん明かされ
それを教えてくれるのは嘘をついていそうな若い元カノ。
ついには母親や…ふっかでさえ嘘をついているような気がして
そのうちメンタルがやられてしまいそうだ。
「せめてヒントをくれないか。」
「ん？」
「…頼む。」
「うーん、じゃあじゃあスマホ貸して？」
頭にハテナマークを沢山浮かべながらも
Aにスマホを渡すとぎこちなく操作し始めた。
「じゃあ今から正人さんの家に戻ろうか。」
返ってきたスマホは、
何故かふっかとのトーク画面を映し出していて
じいちゃんの家で探し物してたらAが押しかけて来た
というメッセージが送られていた。
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ぴくみん(プロフ) - ぱぐたろさんの作品の一つ一つ伏線を回収していくお話が本当に好きで、今回もワクワクしながら読んでいたらあっという間にエンディングでした！今回の作品もとても面白かったです…いわふかの関係性が最高でした。 (2021年6月28日 3時) (
レス) id: 3b567ca5ed (このIDを非表示/違反報告)
みー - 他にはないジャンル？のお話で、一気読みしました！すごくおもしろかったです！ (2021年6月27日 23時) (レス) id: 978894b8a4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぱぐたろう
| 作成日時：2021年6月27日 20時
