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「修羅場って…本当にあるんだな。」
「そんなしみじみ言うなよ。」
「俺あんなアグレッシブな状況初めて。」
「…面白がってんの？」
大学の食堂でふっかと飯を食っていると
当然、先日の葬儀の話題になった。
ガラス張りの室内から見える外の景色は土砂降りの雨で
複雑な心情も相まって空気が淀んでいるように感じる。
「おばさんは大丈夫なの？」
「あれから機嫌悪くて参ってるよ。」
「そりゃそうだよなぁ…。」
あの女性が祖父の元カノだと言い放ってから
葬儀の雰囲気は最悪なものになった。
タイミング悪く俺を追いかけてきた母親が
女性の胸ぐらを掴んで怒鳴りだし室内は騒然、
祖父の微笑んでいる遺影が皮肉めいて見えた。
「やっと穏やかになると思ったのに。」
「…あの後すぐ帰ってったし
遺産目当てとかでもなさそうだったじゃん？
純粋に最後のあいさつに来ただけじゃない？」
「…違うんだよ。」
ただ挨拶に来ただけならどれほどよかったか。
何とか親族総出で二人を引き離した後
女性は涼しげな顔でぐしゃぐしゃになった喪服を整え
またとんでもないことを言い出したのだから。
「じいちゃんから遺書預かってるらしいんだよ。」
「はぁ！？」
「時期が来たら見せますって…
もう意味わかんねえよ。」
最初は何かの冗談かと思った。
周りの人間も嘘はよくないと女性にヤジを飛ばしていて
俺もその言葉を信用していなかった。
でも女性は顔色一つ変えることなく
小さな鞄の中から一通の封筒を取り出し
俺ら全員に見えるように前へ突き出した。
「あれは間違いなくじいちゃんの字だった。」
「マジかよ…。」
「それで母さんが発狂して
今に至るって感じ。」
何か行動に出たくても
連絡先はおろか名前すら知らない。
あの日以来俺たちの前に現れることはなくて
何もできずに頭を抱えていた。
「何やってんだよじいちゃん…。」
彼女、ましてやあんな若い女と。
それだけでもパニックを起こしているのに
遺書まであったなんて、
何度目かわからない溜息を吐き出すと
さっきよりも雨脚が強くなった気がした。
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ぴくみん(プロフ) - ぱぐたろさんの作品の一つ一つ伏線を回収していくお話が本当に好きで、今回もワクワクしながら読んでいたらあっという間にエンディングでした！今回の作品もとても面白かったです…いわふかの関係性が最高でした。 (2021年6月28日 3時) (
レス) id: 3b567ca5ed (このIDを非表示/違反報告)
みー - 他にはないジャンル？のお話で、一気読みしました！すごくおもしろかったです！ (2021年6月27日 23時) (レス) id: 978894b8a4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぱぐたろう
| 作成日時：2021年6月27日 20時
